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ボストン・バークリーで挑戦し続ける大阪スクールオブミュージック専門学校の卒業生に聞く
2015.05.26
滋慶学園グループの浮舟邦彦総長一行が渡米中の4月下旬、ボストンにある有名な音楽大学、バークリー音楽院を訪問、ロジャー学長と面談しました。その際、一人の日本人留学生がボランティアとしてキャンパス内を案内してくれました。大阪出身の遠山歌子さんです。遠山さんは偶然にも、本学園グループの大阪スクールオブミュージック専門学校(OSM)の卒業生でした。
アメリカ有数の音楽大学で学ぶ遠山さんに、留学を決心するに至ったいきさつや現在の留学生活、将来の夢などをうかがいました。
(聞き手 本部国際センター 渡辺 英緒)
――留学をしようと思ったきっかけは?
「OSMで、ゴスペルと作曲を学んでいたのですが、バークリー音楽院出身の先生がおられて、バークリー音楽院についていろいろ聞いているうちに、どうしても留学したくなりました。ちょうど2010年に同音楽院とパートナー校の関係にあった神戸市にある甲陽音楽院で入学選抜のライブ・オーデイションがあるのを知って受けたら、幸運にも合格できて留学がきまりました」
――それで留学したのですね。
「ええ、奨学金もいただける条件での留学です。うれしかったですね。それで作曲や編曲を学ぶ[Contemporary Writing and Production]専攻に入学しました。でもボストンの冬は大阪に比べてものすごく厳しくて。始めの頃は、あまりの寒さに気管支炎を患ったり、音楽英語を知らなくて授業についていけなかったり、散々でした」
――随分、苦労したのですね。やはり言葉の壁ですか。どのように克服したのですか。
「高校時代、外大を志望していたくらいで英語は得意でした。でも、ト音記号とか、音楽の専門用語を英語で言えなくて…。自分自身、本当に情けなく思いました。
結局、勉強して授業について行けるようにするしかありません。聞かぬは一生の恥。バークリーで教わったことを全部吸収しなければ、ボストンにいる意味はない。このままでは自分は進化しない。こんなことを自分自身に言い聞かせました。
そして始めたのが“教授室訪問作戦”です。授業の後、毎日のように先生のオフィスアワー(教鞭をとる授業以外の業務時間)に教授室に押しかけて、分からないところを徹底的に訊ねました」
――忙しい先生方がきちんと対応してくださったのですか。
「ええ、たどたどしい私の英語の質問にも、きちんと私に理解できるように答えてくださいました。プロのパフォーマーになるための技術や知識からチャンスを掴むまでの準備や心構えも、すべてを情熱的に教えていただきました」
――OSMで学んだことは役に立っていますか。
「バークリー音楽院のカリキュラムは、OSMのものとは違います。それでバークリーでやっていけるか、OSMで学んだ実力を試す試験を受けたのですが、しっかりと結果を出すことが出来ました。その結果、OSMでの履修科目はバークリーでも通用することが証明出来て、すでにOSMで勉強した科目については、重複して履修しなくてもいいようになりました」
――OSMのレベルの高さが証明されて嬉しいです。ところで学生は世界中から集まっているのでしょ。国籍もバックグラウンドも違う人たちとうまくやっていけていますか。
「クラスメートたちとはうまくやっています。『この仕事にチャレンジしたら…』と背中を押してくれたり、『一緒に仕事しない?』と声をかけてくれたり。アメリカはいろいろな国の人が集まっているからこそ、コミュニケーションや信頼関係が大切だと強く感じています。
でも東日本大震災が起きるまでは、ボストンに日本人の友人はいませんでした。寮やクラスで知り合ったアメリカや他の国の友達とばかり付き合っていて、大学生活を満喫していましたから。
それが、2011年の大震災以後、バークリーの日本人学生との間でも絆が生まれています」
――遠山さんは現在、バンドのリーダーとしても活躍されているとか。
「いろんな国のメンバーで構成する『SkyBridge』というバンドです。スローガンは“We look different, we ALL smile the same.”です。『私たち見た目は違うけど、笑顔は皆同じ』って意味なんですけど。英語で表現すると、ちょっといいでしょ。バンド名のSkyBridgeは『虹』を指していて、『空には国境なんてない』という意味です。文化、性別、人種の違いを越えて、虹のようにカラフルな橋で皆がつながる音楽を作りたいのです」
――最後に遠山さんが大事にしている言葉があれば、教えてください。それと、滋慶学園で学ぶ後輩やこれから入ってくる後輩に伝えたいこと、将来の夢は?
「私のモットーは、『成長とは新しい失敗をし続ける事』です。同じ失敗ではなく、新しいことにチャレンジした上で、たえず新しい失敗をし続けようと思っています。
在校生や将来の後輩の皆さんに対しては、『自分にとって居心地が悪いところに飛び込んで、そこを居心地の良いところにしてごらん』って言いたいですね」
SkyBridgeの活動を通してアメリカで生き生きと活躍する遠山さんの姿は、webサイトhttp://www.skybridgemusic.org/で出会うことができます。