お知らせ
News
【活躍する卒業生】エンターテイメントで日韓の架け橋にK-POPダンスのパイオニア LiL KyonA(リル・キョナ)さん
東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校 総合タレントコース卒業 LiL KyonAさん
日本でのK-POPブーム前の2007年から韓国関係の活動に特化、音楽を通して日韓の架け橋となるその活動が日本、韓国のテレビでも取り上げられて注目されてきたLiL KyonA(リル・キョナ)さんは、東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校の卒業生。音楽、ダンスを通して日韓の交流を続けている「日韓音楽交流アーティスト」としての活動や、交流にかける思いをインタビューしました。
LiL KyonAさんのプロフィール
日韓音楽交流アーティスト、日本におけるK-POPダンスの先駆者。東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校を卒業後、ダンス&ヴォーカルグループで活躍。その後、音楽を離れた期間にK-POPに出会い人生が変わる。2007年から韓国音楽関連に特化し、その活動が日韓のテレビ等のメディアに取り上げられる。2011年からの日韓交流おまつりのK-POPステージをはじめ、KCON、KMF(日韓文化交流会主催)、ミスコリアなどの日韓行事にレギュラーとして演出、出演をしている。また、ダンスヴォーカル歌手としても活躍しており、2012年にリリースしたシングルは「開運!なんでも鑑定団」(テレビ東京)のエンディングテーマに採用された。ダンサー、歌手、振付師、ダンスイベントの審査員、TSMやDA TOKYOなどの専門学校や大学、ダンススクールなどの講師など、幅広く活躍しています。
音楽から離れていた時期に出会ったK-POPが人生を取り戻させてくれました
ー2007年より韓国音楽関連に特化した活動を行っているそうですが、何かきっかけがあったのですか?
実は当時、音楽から離れていた時期でした。東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校を卒業後、ダンスヴォーカルグループでオムニバスCDをリリースするなどして活動していましたが、グループの方向性が変わったときに脱退しました。その後、オーディションを受けたり、仕事の紹介を受けたりしていましたが、うまくいかない時期が2年続いて精神的にもつらくなり、音楽は趣味でやろう、本気で追求することはやめようと決めました。そんなある日、たまたま観た日本のアーティストのミュージックビデオにコラボ出演していたグループが、全員ラップか歌を歌いながら踊っていました。画面越しでも芯の強さが伝わり、これは誰なのだろうと調べたところ韓国のグループでした。全員が歌いながら踊るというスタイルがずっと好きだったこともあり、「これがK-POP界にたくさんある、K-POP界では当たり前のことなんだ」と、それでもう一気にオタク魂が(笑)。
ーMVを観て刺激を受けたところがスタートしたのですね。
K-POPを追求すると決めてから、やりたいと思って行動するとそれが叶うということが続いていきました。K-POPに人生変えてもらいました。物心つく前から音楽をやっていたので、他にやりたいことがなかったんです。どうやって生きていこうと心にぽっかり穴が開いていましたが、K-POPが人生を取り戻させてくれました。
ーK-POPの魅力にいち早く気づいたKyonAさんが思うK-POPの魅力は?
私がK-POPを好きになった当初に魅力として挙げられていたのが「ミッチョ、ミッチョ、ミッチョ」、「マキョ、マキョ、マキョ」と、一度聴いたら覚えてしまう音の響き、言葉の面白さ。そして、振り付けの斬新さ。さらにアーティストのコンセプト、役割、個性がはっきりしているので、観ていて楽しいことです。また、実力主義、才能主義で、長年トレーニングをしてきたなかで勝ち抜いてきているからか、芯の強さ、その覚悟が画面を通してどのアーティストからも伝わります。そして、音楽の中毒性。「何これ?」と最初は思うのですが、一度聴いたら止まらない、どんどんはまってしまうということがきっかけでした。
ー今では世界的に人気です。
最近のK-POPは、世界に向けて発信しているからなのか、おしゃれになってきています。容姿がよくてダンスも上手で、その上でとことん突き詰める。パフォーマンスが計算されています。流行をいち早く取り入れて、それを自分たちのものに昇華して発信しています。また、映像戦略がすごく上手だなと思います。練習動画を自ら出すことによって(ダンスを)真似をしやすくなり、真似をするとどんどん深みにはまってファンが増えていきます。
音楽に国境はありません。日韓で始まったものを追求しつつ、いろいろな文化の垣根も超えて、どんどん輪を広げていきたい
ーその魅力を伝えていくのが、KyonAさんの肩書きの「日韓音楽交流アーティスト」ですか?
以前はK-POPの面白さや魅力を伝えるということ一辺倒でしたが、今はその背景や、日本の音楽、洋楽、歴代の流行、特徴の違いを具体的に、長年オタクとして(笑)観てきているからこそ得られるもの、共通点や違いを伝えるという方に重きを置いています。
ー今年(2023年)の9月に開催された「日韓交流おまつり」ではK-POPのステージをプロデュースして、歴代のダンスを披露されたそうですね。
そうなんです。流行だけではなく「いいものはいい」というキーワードです。私には、韓国へ行ってアイドルになるとかバックダンサーをやろうという考えはありませんでした。それならば、来日したアーティストと自分のグループで共演をする。共演をするからこそ、そこでリアルな交流が生まれます。ここ数年はだんだんと自分が作ったものやこだわりを持って発信したいものをプロデュースし、私自身も出演しています。コロナ禍で表に出て活動する機会がないなかで「自分が表に出て発信するからこそ人に伝えられる」ということに気づいて、今年度から力を入れています。『エンタメ番地一丁目』というプログラムのタイトルで、一般の方に観に来ていただける屋外のステージでのプログラムを担当しています。
ーそれを、日本の人たちに伝えていく。
日本だけではありません。音楽に国境はありません。コミュニケーションの手段であり、お互いに興味を持つ良いツールだと思っていますので、日韓で始まったものを追求しつつ、私は欲張りなので、いろいろな文化の垣根もさらに超えてどんどん輪を広げていきたいです
人がやっていない新しいことで、誰かが笑顔になることが基準
「和」もしっかりと発信していきたいです
ー交流という部分で、日本の音楽や文化についてはどう考えていますか?
自国の文化に対しての愛情があり、相手の文化に対してのリスペクトもあります。本当の意味での交流であれば、日本の文化も発信した方がより交流が深まると思い、私が高知出身でよさこいのヴォーカルをしていたので、よさこいダンスヴォーカルという斬新なものをやっています。よさこいはヴォーカルとダンスがきっちり分かれていて歌いながら踊ることはありません。それであれば人がやってないことをやろうと思いました。キャッチーな曲でよさこいアレンジをしたり、例えば以前は流行った韓国の「カンナム・スタイル」という曲で鳴子を持って踊ったりもしました。クロスカルチャーも面白いです。人がやっていない新しいことで、誰かが笑顔になる、誰かのためになるということが基準です。私は日本の歴史が好きですし、弓道と茶道の経験もあるので「和」もしっかりと発信していきたいです。
K-POPは熱量、誠意が絶対に必要なキーワード
音楽、舞台に対しての誠意、授業に対しての誠意を必ず持って欲しい
ーKyonAさんは母校のTSMやDA 東京、また大学やダンススクールでもK-POPダンスを教えていますが、生徒や学生はいかがですか?
学校には、ちょっとだけ関心がある生徒、K-POPアイドルやダンサーを目指して積極的に学んでいる生徒などいろんなタイプの生徒がいるので、どこに合わせて授業をするのかを最初は悩みました。でも、何かきっかけがあればフワッとしている生徒もきっと変わるだろうし、どうやったらそのきっかけを私が作ってあげられるのかを考えています。学生時代、私がいたコースの学生は積極的でした。当時はダンスのコースにしか海外講師によるHIPHOPの授業がありませんでしたが「私たちに2年になったら授業を作ってください」と先生に直談判をして特別に作ってもらったことがありました。そのくらいの熱量が今の生徒、学生たちに欲しいです。K-POPは熱量、誠意が必要なキーワードです。K-POPのコースを選ぶのであれば、熱量が必須条件だと思います。とにかくむしゃらに。「私はまだそんなにできないから」という考えをまず捨ててほしいですし、音楽に対して、舞台に対しての誠意、授業に対しての誠意を必ず持ってほしいと思います。
ー学生や生徒のみなさんにKyonAさんが一番伝えたいことは何でしょうか?
教えているのはK-POPのコースではありますが、ジャンルは関係なく『音楽』として学んでほしいという思いが一番にあります。振付は上辺だけを真似をするのではなく、歌もただ歌うだけではなく、いろいろな表現をするためには音楽的な解釈が必要になると思います。その振付を踊るために、アーティストたちはいろんなジャンルをしてきています。流行は巡りますし、音楽にはさまざまなジャンルがありますから、選り好みせずに音楽自体に興味を持って追求してほしいです。いろいろなジャンルを経験して、自分ならではの“ウリ”を見つけてください。また、人との繋がりを大切にしてほしいと思います。
混沌とした世の中、少しでもみなさんが笑顔になれる瞬間や新しい感動が生まれる場を作りたい
ーこの仕事をしていて一番うれしかったことは何ですか?
本当に苦しい思いをして諦めた音楽の道でしたが、K-POPと出会ったことでやりたいと思っていたことが実現して、私の人生を取り戻させてくれました。そして、K-POPがなければ出会うことがなかった人たち、日本と韓国だけではなく国を超えて、また日本の多くの人たちとの出会いがあったことです。
ーこれからの活動、目標を教えてください。
広くエンターテイメントというワードで、壁をどんどん壊していきたいと思っています。「いいものはいい」をキーワードにエンターテイメントを大きく捉え、音楽や音楽以外のものも全部繋いでいき、演者同士、観客のみなさんが新しく出会えるきっかけを作りたい。それで、ここからエンターテイメントを発信する場所という意味を込めた『エンタメ番地一丁目』という名前で動き始めました。ギスギスと混沌とした世の中、少しでもみなさんが笑顔になれる瞬間や新しい感動が生まれる場を作りたいです。プロデュースしているステージでは、子どもから大人までが一緒に気軽に楽しめるコンテンツも用意していますので、是非遊びに来てほしいです。そして『エンタメ番地一丁目』の一員になってもらえたらうれしいです。
(インタビュー協力:Jier)
Web広報センター/東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校