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東京情報デザイン専門職大学で入学式 新入生はテクノロジー分野の即戦力、専門職業人材としての期待を背に学びをスタートしました!
情報とテクノロジーを学び、豊かな創造力を育む東京情報デザイン専門職大学(TID、東京都江戸川区小松川)の入学式が4月12日(水)、同大学学生ホールで行われました。運営母体は学校法人滋慶学園。昨年8月末に文部科学省から設置認可を受け、第一期生として新入生を迎えました。
式典の後は“第1回目の授業”として、滋慶学園グループ姉妹校の学生たちが産学連携の実績をプレゼンテーション。フィナーレでは東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校のゴスペルアンサンブルが『You Raise Me Up』のコーラスで祝福し、新入生たちは新しい仲間と共に、希望に満ちた学生生活のスタートを切りました。
入学式は大津和善事務局長の司会で進行。ゴスペルアンサンブルの先導による国歌斉唱に続き、中鉢良治(ちゅうばち・りょうじ)学長が式辞を述べました。
「企業は今まで以上に即戦力のデジタル人材を求めている」 中鉢良治学長
中鉢学長は東北大学で工学博士の学位を修得し、ソニーに入社。代表執行役社長、副会長などを歴任し、産業技術総合研究所の理事長に就任。現在も研究所の最高顧問として指導的な立場にあります。
学長はここ数年、日本が大きなデジタル化の波にさらされてきたことに言及。多くの分野でAIの導入・自動化が進んでいることや、チャットGPTの活用をめぐって様々な議論がなされていること、新規人材が必要な職種のJOB型採用が増えていることなどを挙げ、「企業がこれまで以上に実践的な即戦力を求めています。こうした変化はすべてデジタル技術が引き金になっているといっても過言でありません」と語りました。
しかし、政府も企業もDXの必要性を唱える半面、DX人材が決定的に不足していると指摘。2030年には最大で79万人が不足するという経済産業省の予測を示しました。そのうえで同大学の特徴について、通常の大学とは異なり、職業を意識した実践力と高度な知識の習得が目的で、建学の精神が「実践」「自立」「創造」であることや、教員の7割が企業出身者であること、学生に660時間、約4カ月の企業研修を義務づけていることなどを説明しました。
そして「社会はDX人材が一人でも多く、一日でも早く活躍することを願っています。企業は皆さんを待っているのです。皆さんも教職員も本学の一期生。私は初代の学長です。4年間は厳しくても“今日も笑顔であいさつを”のモットーを励行し、本学の新しい歴史と伝統を共につくっていきましょう」と呼びかけました。
「未来に備える6Cのスキル」 日本マイクロソフト 中井陽子統括本部長
続いて日本マイクロソフトのパブリックセクター事業本部 文教営業統括本部、中井陽子統括本部長がお祝いのスピーチ。中井本部長はマイクロソフトに入社後、2012年から日本マイクロソフトでマーケティング戦略、セールスマネジメントなどの仕事に携わり、2018年から現職についています。
中井本部長は、大量のデータを安全に蓄積することが出来るクラウドの開発によって、人工知能やロボティクスなど産業を支える技術が飛躍的に発展してきたことに触れ、「生活の中でデジタルは欠かせないものになっています。そしてDXはあらゆる企業が行うようになり、人はより創造性の高い仕事に取り組めるのです」と指摘しました。
これから活躍する若い人たちには、Future-ready skills(未来に備える力)として「6Cのスキル」が大切だといい、次の言葉を挙げました。
・Communication:議論しあう力
・Collaboration:協働しあう力
・Critical Thinking:疑問を逃さない思考性
・Creativity:創造性
・Curiosity:好奇心
・Computational Thinking:計算論的思考
さらにチャットGPTに代表されるAIテクノロジーが身近になってきたことに言及し、「AIをどのように使うか、これから議論がもっと盛んになると思います。使わないという選択肢ではなく、使ってみてどのように活用するのかを考えることが人の知恵。デジタルでどうやって世の中をより良くするのか、問題に苦しんでいる人たちを如何に助けていくか、人口減少が続く日本を如何にして豊かにしていくか…。皆さんのこれからの学びと知恵によって決まってくると思います」と語りました。
最後に「知識を吸収して知恵に変え、仲間と一緒にいろんなものを作っていく、考えていくということに時間を使ってください。皆さんのご活躍をパートナー企業として見守っていきたいと思います」と激励しました。
「連携して一緒にDXに取り組みたい」 江戸川区の斉藤猛区長
斉藤猛区長はビデオメッセ―ジで「東京情報デザイン専門職大学は江戸川区で初めて創設される4年制の大学。医療や福祉、デザインなど様々な分野で多くの専門学校を運営している学校法人滋慶学園と江戸川区は、地域社会の活性化などを目的とした包括協定を締結するなど、長年にわたり連携を深めてまいりました」と学園とのつながりを説明しました。
大学が立地する小松川の地域について、災害に強い安全で快適な街づくりとして、再開発事業や荒川の堤防強化事業を実施してきたことや、小松川千本桜に代表される豊かな水辺の環境に恵まれた利便性の高い街として成長してきたことを説明しました。
「歴史あるこの地に専門職大学が開学したことは喜ばしい限りです。本区もDXを推進しています。皆さんと連携して一緒に取り組めることを楽しみにしています。大学の恵まれた環境を活かして勉学に励み、日本のデジタル産業を担う人材へと成長されることを心から願っています」とエールを送りました。
「実践的に学べる環境で創造性やマネジメント力を」 浮舟邦彦理事長
全国で80校以上の学校を運営する滋慶学園グループの総長である学校法人滋慶学園の浮舟邦彦理事長は祝辞の中で、大学の運営母体の学校法人について説明しました。浮舟理事長が専門学校の事業に携わったのは1976年で、1983年に学校法人滋慶学園を設立。東京医薬専門学校(現・東京医薬看護専門学校)でスタートし、滋慶学園は現在、同専門職大学を含め35校までに成長しました。学生総数1万7900名、1000人以上の留学生が学んでいると紹介しました。
この専門職大学の特色について、博士号を持ちながら企業の現場で実践してきた教員が多いことや、長期インターンシップの制度によって現場で学べる特色があることなどを挙げ、「実践的に学べる環境で、創造性やマネジメント力を身に付ける場なのです」と語りました。
そして「社会は少子高齢化、DX化という大きな変化を迎えています。AIやメタバースなどのテクノロジーが飛躍的に発展している今、社会が皆さんを待っているのです。皆さんはこれからの人材なのです」と強調。そのためにも社会人としての身構え・気構え・心構えを身に付けることや、コミュニケーションの原点である「笑顔でのあいさつ」の大切さを説きました。
さらに「これからの皆さんの職場は国を越え世界になります。異なる文化や価値観を理解し、国際的な感性を養って頂きたいと思います。共に学ぶ仲間との人間関係、先生や業界の方々との人間関係を大切にしてください。人的なネットワークは将来の大きな財産になるはずです。皆さん、地域の方々と一緒になって良い大学をつくっていこうではありませんか!」と力強く締めくくりました。
姉妹校の在校生らが産学連携プロジェクトをプレゼンテーション
式典の後は、滋慶学園グループの姉妹校の卒業生や在校生による日本語と英語でのプレゼンテーションです。「業界に必要な人材を業界と共に育成する」という産学連携教育システムにより取り組んできた成果を紹介しました。
■マツダ企業プロジェクト「20年後のマツダブランドを想定した車輛の提案 EXTRAORDINARY」
TCA自動車デザイン科 中山直さん
2042年はバーチャル技術がより発展し、個々の趣味や趣向などこだわりの領域も含め、さらに一般的になると考えました。そこで20年後のマツダブランドとして、音楽を趣味とするユーザーが仲間と一緒に音楽による楽しい時間を過ごしながら、超高速移動ができるモビリティを提案。バーチャルワールドだから表現できる非現実的なデザインや機能を追求し、スピード感のあるフォルムと、楽しさが膨らむデザインに仕上げました。
■セガ企業プロジェクト「プロサッカークラブをつくろう!ROAD TO WORLD」
若年層を獲得するためのプロモーションプラン提案
東京コミュニケーションアート専門学校(TCA)卒業生 遠藤茜さん
セガのスマホ向けゲーム「プロサッカークラブをつくろう!」により多くの若者を取り込む企画提案のコンペで、最優秀賞に選ばれました。遠藤さんらのチーム“じゃじゃ馬ガールズ”は、オフィスや学校等を舞台にサッカー用語をからめたガールズトークを繰り広げるプロモーションムービーを作成。アディショナルタイム篇、オフサイド篇など5本の動画とメイキング映像が公開されました。姉妹校の東京俳優・映画&放送専門学校の学生の協力も得て、撮影・編集・音楽・キャスティングまですべて学生が行いました。
■ディズニー公式動画配信サービスDisney+ 「ペンタトニックス ザ・ワールドプロジェクト」
東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校(TSM) 金子勝洋さん
ペンタトニックスはアメリカ出身の5人組アカペラグループ。金子さんは彼らの歌を聞いて感動し、シンガーを目指しています。動画配信サービスDisney+でペンタトニックスが歌手を目指す若者と共演するという番組の出演募集がTSMにあり、オーディションで日本代表に選ばれました。約7分の番組制作のために打ち合せは半年にも及び、収録は電車や渋谷の高層ビルの展望台を貸し切って行われるスケールの大きいプロジェクトを経験しました。
■ソニー コンピューターサイエンス研究所「AI楽曲制作プロジェクト」
東京スクールオブミュージック専門学校渋谷 卒業生 大城悠偉さん
企業プロジェクトとして、AIで様々なスタイルの音楽を生成する作曲ツール「Flow Machines」を使用し、ソニーのテレビBRAVIAに搭載されているアート・デザイン系アプリ「リビングデコ」向けのBGM制作に取り組みました。リビングデコはテレビを映像や音楽でインテリアとして楽しめるアプリ。「Flow Machines」はAIが4小節、8小節のメロディーの提案をするほか、作曲者のオリジナルをAIに学習させ“自分らしい”メロディーを生成することも可能にします。Morning、Midnightなど4つのテーマで作品をつくりました。
■日本マイクロソフト企業プロジェクト「HoloLens2を用いた体験型脱出ゲーム制作『HoliDive』」
東京デザインテクノロジーセンター専門学校(TECH.C.) 永井歩さん
マイクロソフトのHoloLens2は、装着すると現実世界にホログラムを表示して触ったり、動かしたりすることが可能で、VRやARとは違った体験ができるMRデバイスです。プロジェクトチームはHoloLens2使用した体験型脱出ゲームの企画制作に取り組んできました。コントローラーではなく両手を使ってプレイできるHoloLens2の長所を活かした「没入感覚の高いゲーム体験を味わう」がコンセプト。展示にもこだわり、アミューズメントパークのアトラクションのようなブースデザインにしました。
■インテル企業プロジェクト「会議室の新しい企業プロジェクト」
TECH.C. 細河心尊さん
インテルは米カリフォルニア州に本社を置く世界最大手の中央処理装置のメーカー。主にコンピューターに欠かせないマイクロプロセッサなどを開発しています。チームは対面でのミーティングが増えてきた会議室で、新型コロナウイルス対策として出来ることを検討。会議をスムーズに進めるインテルのツールに、人の姿を検知できるソフトウェアを組み込み、密接な状態の程度による色の変化で感染リスクを通知するシステムをつくりました。
グランドフィナーレは「You Raise Me Up」の歌で新入生を祝福
最後のプログラムは東京スクールオブミュージック&ダンス専門学校のゴスペルアンサンブル。新入生への歓迎のメッセージをコーラスで届けました。曲はトリノ冬季五輪で金メダルに輝いたフィギュアスケートの荒川静香さんが、エキシビションで踊ったときの「You Raise Me Up」です。
♪ 困難に見舞われ 心に重荷を抱えた時 あなたが励ましてくれるから 山の頂にも立てる …私は強くなれる ♪
東京スクールオブミュージック専門学校渋谷の池末信学校長の指揮、ジャネット・ジャクソンのバックコーラスなど多くのアーティストと共演してきた同校卒業生の斉藤早春さんのヴォーカルで、夢に向かって歩きはじめた新入生の入学を祝福し、励ましました。