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OSM卒業生が「第1回ひろしまアワード」を受賞しました! 音楽を通して多様性、平等、世界平和を訴える活動推進
大阪スクールオブミュージック専門学校(OSM)で学び、ボストンのバークリー音楽大学を卒業後、グローバルプロジェクトバンド「SkyBridge」として海外で活動中の遠山歌子さんが、「第1回ひろしまアワード」を受賞しました。
「平和文化」の醸成に貢献してきた活動を称える賞で、遠山さんは2020年から各国のミュージシャンに平和の歌を書いてもらい、世界平和の日(9月21日)にオンラインでリリースする活動を推進。80ヵ国以上から約90曲が集まりました。世界の人々が違いを超えてつながり合えたら、という思いを込めた遠山さんの作詞作曲の『誰かの目で』が日本の代表曲として発表されています。
「SkyBridge」「Songs for World Peace」で平和を訴える
「ひろしまアワード」は、音楽とメディア芸術の分野で、「平和文化」を広め、育んできた個人・団体に贈られる賞。次世代につながる取り組みや大きな成果を挙げた活動を各業界の専門家が推薦し、受賞者を決めます。音楽家や芸術家、学生らが集い、様々なイベントを行う「ひろしま国際平和文化祭」の開会式で表彰されました。遠山さんはイギリス在住で、表彰式にはビデオメッセージの形で参加しました。
遠山さんはバークリー時代、音楽を通じて世界各国のミュージシャンたちと友達になることで、「音楽と人間の普遍性、多様性を実感した」と言います。プロジェクトバンド「SkyBridge」は『私たちは、見た目は違うけれど、笑うのはみ~んな一緒』というスローガンのもと、2013年ボストンで誕生しました。差別や環境問題の解消、世界平和を音楽で訴えていくという活動で、47ヵ国のミュージシャンと共演しています。
さらに2020年には、ボストン在住の作曲家・編曲家、中山義恵さんとともに世界のミュージシャンが音楽の力を通じて平和を促進するプロジェクト「Songs for World Peace」を立ち上げました。各国のミュージシャンに母国語で平和をテーマにした曲を書いてもらい、国連が定めた世界平和の日に同時発表するという活動です。今回の「ひろしまアワード」音楽部門の受賞は、こうした一連の活動と楽曲が評価されたものです。「Songs for World Peace」のプロジェクトで発表した『誰かの目で』は「同じ空の下 違いを超えて 声を重ねたなら 変わるのかな」というフレーズが印象的です。
※『誰かの目で(Through Their Eyes)』
https://youtu.be/5HE3_JUVmLA
(Vocal:Utako Toyama、吉田沙良(モノンクル)、稲泉りん、JUDY.、高橋あず美 )
ミッションは違いを乗り越えて社会運動を起こす
授賞式のオンラインによるスピーチで、遠山さんは「私はまだまだ無名なので、この受賞のお知らせをいただいた時は正直びっくりしました。音楽家は色々なことが、知名度によって測られることが多いなかで、この国際平和文化祭では、自分の活動と音楽を純粋に評価していただけたことが、本当に嬉しいです」と感謝の言葉を述べていました。
「SkyBridge」という名称は虹を表す遠山さんの造語で、「空には国境がなく、文化も性別も人種も超えて、虹のようにカラフルな橋でみんなをつなぐ音楽でありたい」という願いが込められているそうです。
「Songs for World Peaceの活動と合わせると、これまで100ヵ国を超える世界中の音楽家と、音楽を通して多様性、平等、世界平和を訴える活動をしてきました。SkyBridgeの曲は人種・性別・LGBTQなどに対する差別や環境問題の改善を訴えるためのものです。私たちのミッションは、私たちの音楽、そしてそれを一緒に演奏する機会を設けることで、言葉・文化や宗教など色んな違いを乗り越えて、ポジティブな社会運動を起こすことにあります」と遠山さん。
国際ニュースを他人事とは思えない
グローバル化の現状について「今、インターネットの発展のおかげで、1クリックで地球の裏側で何が起こっているのか、知ることができます。それでも差別も、戦争もなくならないし、私たちはニュースを見ても、画面をスクロールし続けてしまいます。私たちのモラルがテクノロジーに追いつくためには、本当の意味での共感力を養う必要があるのです」と語ります。
遠山さんは、バークリー音楽大学に在学中、「音楽に友達を作ってもらう」というかけがえのない経験をしたそうです。「友達が世界中に出来てからは、国際ニュースを他人事と思うことができなくなりました。それぞれの国に、友達やその家族が思い浮かびます。様々な背景を持つ人たちと、共通の目標に向かって進ませてくれる音楽は、有意義な個人的体験を作り、新しい視点を紹介する最高の方法だと気づかされました。私はそれを沢山の人に体験してもらいたいです。『誰かの目で』はそんな願いを込めて書きました」と曲への想いを語っています。
音楽は「誰かのために貢献する方法」と気付く
OSMに入学したことについて、「西洋の音楽や西洋に影響を受けた音楽が大好きで、高校3年の時、外国語大学に行き海外留学して音楽を学ぶか、OSMで音楽を学んでから留学するかという選択で迷っていました。外大に合格したものの、音楽が1番したいことなら音楽を学ぶのが正解だと思い、OSMに決めました」と振り返りました。
遠山さんは入学当時、音楽は自己表現の方法で、自分の存在を証明するようなものだと考えていました。しかし、老人ホームでゴスペルを歌ったのがきっかけで、音楽は単なる自己表現ではなく「表現することによって、誰かのため、何かかのために貢献する方法」だと気付いたそうです。
留学のことは「OSM在学中に『No Rain No Rainbow』という曲を書いたのですが、それを英語にして色んな人に聞いてもらいたい、出来たら歌ってもらいたい!という想いから、バークリーに入学しました」と言います。実際バークリー音楽大学の入学直後、学内で行われたコンサートでこのオリジナル曲を演奏しました。
平和の歌のリリースは全世界制覇まであと110ヵ国
遠山さんは今後の目標について「SkyBridgeでは現在アルバム制作中で、コロナがおさまり次第、アルバムを引っ提げ日本ツアーをする予定です。Songs for World Peaceは中山さんと共同設立して以来、約80ヵ国からリリースしました。全世界制覇まで、あと110ヵ国ちょっと頑張りたいと思います」と語っていました。
「将来の大きな夢は、まだテクノロジーが追い付いていないんですけれども、オンライン上でグローバルクワイヤを作り、リハーサルから本番のコンサートまで、すべてオンライン上で行うことです。そうすれば私が経験したように、音楽を通じて世界中に友達を作ることが、誰にでも、自分の国から出ずに出来るようになるからです」と目を輝かせていました。
(写真はすべて遠山さん提供)