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滋慶学園グループの国際教育部会 全体ミーティングを開催 浮舟総長が「第7期5カ年計画に向けて国際教育はどうあるべきか」をテーマに基調講演しました
2021.09.07
滋慶学園グループの国際教育部会の全体ミーティングが7月30日(金)、渡辺部会長を座長としてZOOMによるオンラインで開催されました。ミーティングには、海外研修実務委員会や国際関係部門の各メンバーをはじめ、竹本常務理事と古島常務理事、元外務省の小平国際顧問らが出席しました。
冒頭、この日が2回目のワクチン接種日にあたっていた浮舟邦彦総長が事前に収録したビデオによるオンデマンドで「第7期5カ年計画に向けて国際教育はどうあるべきか」のテーマで基調講演しました。
「我々はグローバルな視点を持った人材、世界で活躍できる人材を養成していきたいと考えています。そのためにはDXを活用し、世界のスーパー・ティーチャーによる講義や交流をはじめ、国際的な学校間連携、企業連携など、広い視野と高い視点をもって国際教育を展開していかなければなりません」。こう呼びかけ、「我々の育てる人材はそのスキルと知識によって世界のどこへ行っても仕事が出来る人材です。そして世界のあらゆる国が職業人を育成するために努力をしています。国際教育は世界共通の教育なのです」と、『職業教育』に力を入れてそれぞれの高等教育機関が人材の育成に取り組んでいる各国の様子を紹介しました。
さらに、滋慶学園がサイバーセキュリティ研究で全米から注目されているウエストフロリダ大学と連携して行ったサイバーセキュリティに関する双方向型のオンライン講義などを紹介、「学生の評判は良く、これからの一つのモデルケースになるだろう」と述べました。そして「自分の国、他の国、その文化や伝統をリスペクトする、国際的な感性を身に付けていく、そのことが非常に大切な要素です」と述べ、そのためのコミュニケーション言語としての専門英語の大切さを強調し、次期5か年計画における国際教育の在り方に言及しました。
第一部 海外研修実務委員会からの報告-オンラインによる海外研修プログラム集“COIL”発行など-
各校からコロナ下でのアウトバウンドの取り組みや第7期5ヵ年に向けた海外研修について発表が行われました。
まず2020年度中止になった各校による海外研修の代替プログラム406本(受講学生数1万2424名)を今年1月の海外研修実務委員会で発表。これらの実施プログラムは、文科省が『新しい教育手法の形』として推奨するCOIL(Collaborative Online International Learning:国際共同オンライン学習)に相当する、事例集「滋慶学園グループCOILプログラム事例報告書 2020年度版」として纏め上げ、このほど発行したと、同委員会事務局から報告されました。
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「滋慶学園グループCOILプログラム事例報告書 2020年度版」の表紙
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COILに収録されたウエストフロリダ大学によるサイバーセキュリティ概論の講義事例
渡辺部会長からは「代替プログラムというより、海外とオンラインでつないで国際教育を展開していく段階に来ている」と指摘があり、2021年度版COILに期待を示しました。
2021年度 各グループ校からの報告-ドイツのアイントラハト・フランクフルトのオンラインスタジアム見学など-
滋慶学園の小川本部長からは、フランスの美容アーティスト、ジャンミッシェル・ファレトラ氏によるオンライン研修やフランスで活躍する卒業生の堀内智司シェフによるZOOM特別授業が紹介され、「フェイスタイム機能を使ったLIVE対話は学生の評判が良かった」と報告しました。
マレーシア国民大学の学生とZOOMブレイクアウトルームを使って行った東京福祉専門学校のグループセッション事例、ドイツのアイントラハト・フランクフルトのオンラインスタジアム見学なども紹介しました。今後、「AR(仮想現実)によるオンライン授業にも挑戦したい」と話しました。
文化教養系のコミュニケーションアートの嶋部長からは、全分野の国際教育プログラムを視野に26本のオンデマンド素材を制作し、対応できるものから展開してきたと報告。今年はオンデマンドと対面のハイブリッドで授業を展開、海外特別顧問によるオンライン特別講義を実施する予定と述べました。
新たなオンラインプログラムとして、オーストラリアのTAFEとの連携や滋慶のニューヨーク校とのコレクティブオンライン留学プログラム、アバターで留学を体験する夏期オンライン留学プログラムなどの連携強化を打ち出しました。
神戸医療福祉専門学校三田校の今在家局長は、オーストラリアのラトロープ大学とのオンライン授業(理学療法士科)やドイツのマイスター資格を持つ卒業生によるオンライン講義(整形靴科)の実施を報告しました。
新大阪歯科技工士専門学校の小柳局次長は、ドイツ在住の日本人とドイツ人のマイスターによるオンライン授業を紹介、その模様が産経新聞にも掲載されたと発表しました。
大阪滋慶学園の小泉課長は、海外研修の単位認定プログラムに関し、ILC講師陣の協力による文化交流の再現を含め15コマ30時間のZOOM代替プログラムを実行した報告を行いました。またアメリカの大学との連携でコロナ禍の医療現場に於ける医療職の実態や医療ソーシャルワーカーの体験談、ダウン症・自閉症の子供の言語セラピーなど、普通では見られない臨床現場をコロナ下のオンラインだからこそ実現できたケースの紹介も行いました。
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ドイツ在住のマイスターによる新大阪歯科技工士専門学校の遠隔授業
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2021/7/30付 産経新聞に紹介された新大阪歯科技工士専門学校の国際教育
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アメリカの提携大学から送られてきたコロナ患者への対応などを学ぶ大阪滋慶学園の事例
各校の報告を受けて、渡辺部会長は、海外で活躍する卒業生講師の取り組みについて、「学生にとれば自分たちの将来像を見ることになり、滋慶学園ならではの特徴の一つだと思う」と述べ、海外渡航については、「状況が整えば海外に学生を送りたい。ただこれまで通りにはいかない面も沢山あると思う。事前研修、事後研修を充実させてフローとして現地に行った時に、これまでとは違う付加価値が与えられるような海外研修プログラムの企画が必要になる」と集約しました。
海外渡航の再開にあたっての確認すべき基本事項
海外渡航の再開にあたって、確認すべき基本事項について、滋慶インターナショナルトラベルの國政次長から、滋慶学園グループのマニュアルでは、渡航が出来るのは、感染症危険レベル、海外危険情報ともに「レベル1以下」であり、それを確認したうえで渡航先の行動制限の確認や隔離期間、ワクチン接種証明書の有効性を確認してスケジュールを立てる必要がある、また学生・保護者に安全・安心を担保するために状況に応じたリスクマネジメントの見直しも必要であり、危機管理マニュルの改訂・整備や海外旅行保険の内容のチェックなどを行うと報告がありました。
海外研修に関する基本方針の一部修正 学生の個人留学などにも適用を拡大
渡辺部会長から、「2021年度海外研修に関する滋慶学園グループの基本方針」について、一部条項を追加する案が動議されました。基本方針では外務省の感染症危険情報レベル2以上に指定されている国又は地域への学生及び教職員の渡航、海外研修による渡航は原則として中止していますが、今回、個々の学生の海外留学、海外インターンシップなどについてもこの基本方針の適用範囲に加えることが提案され、承認されました。
第二部 留学生部門からの報告-海外研修の再開に向けて準備を!-
滋慶学園の留学生支援センターの駿河副センター長から「海外からの留学生に係る出入国管理関係の概況」が報告されました。
新規の留学ビザ入国については、2020年10月以降はレジデンストラック方式がとられ、海外の医療機関での陰性証明書が必要で、入国時にはPCR検査など検疫を受け、14日間の待機などが義務付けられた。2021年7月以降は緊急事態宣言やまん延防止宣言下のため、すべてストップの状態にあるが、在留資格の認定証明書の手続きは行われていると解説。「入国が認められる日のために、いつでも対応できるように準備しておくことが我々の務めだ」と、述べました。
また入国再開について、東洋言語学院の喜多局次長からは、「オリンピック、パラリンピックが終わって、10月期が一つの目安になると思う。しかし感染拡大が進んでいるので現地としてもいろいろ見ながらの判断になるだろう」と、見通しは流動的だと述べました。
渡辺部会長からは、先端技術関係の留学生に対しての国の規制が厳しくなっていると情報提供があり、「文化教養系のAI関係やサイバーセキュリティ関係は注意しておく必要がある」と、アドバイスがありました。
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就職状況やオンライン授業などが報告されました-厳しい状況下でもゲーム・ITなど就職が好調な分野も-
続いて各グループの留学生部門からの報告がありました。3月末時点で、就職希望者率、内定率ともにコロナの影響を受けて前年を割っているが、医療・福祉分野や介護分野で即戦力の採用が多い、また進路については、コロナ禍を心配する家族からの帰国を促す声が強く、全般的に帰国者が増えたが、ゲームやIT、CG分野の就職は昨年同様に好調で、同分野の大手企業への就職が目立ったと報告がありました。それに伴い、5年間の就労ビザがもらえた留学生や作品が書籍化されて芸術ビザを取得したマンガ家デビューコースの学生、長期契約が成立し近く芸術ビザの申請を予定している作曲家デビューコースの学生らのケースなどが報告されました。
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医療福祉分野の就職例
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ゲーム・IT系の就職事例
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大手企業への就職が目立ちました
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デビュー系では芸術ビザを取得する留学生も
また、2002年から中国の大学と提携を結び、中国人の臨床工学技士を育てるプログラムを行っている大阪ハイテクノロジー専門学校や東洋言語学院をはじめ、各グループからコロナのために日本に戻れなくなったり、新入生が入国できないケースに現地とつないだオンラインで授業を行い、日常生活のフォローもきめ細かく行っていると報告がありました。
入国制限が続く中、5月から日本政府の国費留学は部分的に再開したのに、私費留学が認められていない差があることに疑問を感じる、と学校現場からの意見も出ました。最後に、今年から滋慶学園グループの新メンバーとして加入したKADOKAWA Contents Academy 株式会社の古賀社長から、「台湾やタイでアニメーションやCGなどを作る人材を育成する学校を経営している。今までに約4800人の卒業生がいるので協力して事業を展開したい」といった報告がありました。
第3部 海外センターからの報告-中国では日本語人気も-
滋慶学園グループの海外拠点からの報告がありました。
中国からは、上海センターの謝代表が、中国の大学入試で第一外国語として日本語が選択できるようになり、日本語での受験者数が年々増加していると報告。「今後、日本への留学は爆発的に増えると予測している」と述べました。また大阪滋慶学園が提携している廣東薬科大学で27回目の日中健康学会を行うことや、海外研修は今年秋にオンライン研修の形で実施する、と報告がありました。また韓国センターの鄭代表は、新しい取り組みとして、京都医健専門学校のオンライン美容研修を提携校、研成大学の協力で昨年11月に実施したこと、オーストラリアセンターのマシューマネージャーは、今後、オーストラリアの職業教育を担うTAFE(専門学校)との新しい連携に力を入れると報告がありました。
さらに、アメリカセンターLAのクリス代表は、専門留学や研修については、秋学期に100%の学校が開き、オンラインの授業はほとんどなくなる、NYなどで人種差別事件が起きており注意が必要と報告。ヨーロッパセンターの高島マネージャーは、イギリスを除いて自主隔離は不要になっているが、この2週間に感染者数が非常に増えており、研修の受け入れについては流動的だと報告しました。
渡辺部会長は、オンラインで映し出された各代表の顔を見ながら、「コロナのため仕事は厳しい状況だが、皆さんのお元気な姿が見れて嬉しく思う。オンライン教育や広報面でも海外センターの果たす役割は大きい。今出来ることをやっていくことが大事だと思う」と述べました。
竹本常務理事「逆に海外研修の距離が近くなった」 古島常務理事「いろんな形のものが出てきた」
最後に、竹本常務理事と古島常務理事から締めの挨拶がありました。
古島常務理事は、「コロナのため、逆にいろんな形のものが出てきたのではないかと思う。コロナが終息したから前に戻すというのではなく、リアルな海外研修を含めて、第7期に向けて国際教育をどうしていくか、真剣に考えていきたい。今回の発表を参考にグループ全体として国際教育をさらに進めていければと思う」と述べました。
また、竹本常務理事は「海外研修の距離がこのコロナで逆に近い存在になったのではないか。この近いという部分をどう生かしていくのか、滋慶学園グループのネットワーク力やグループ力を最大限に生かすことがこれからの課題だ。今後、いろんなことにチャレンジしながら、オンライン研修で興味を持った学生さんがどんどん海外に行って学んでいただける環境をしっかりと準備して滋慶学園グループの国際教育を推進していきたい」と挨拶しました。
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