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タブレットに記録する「歯科検診システム」を共同開発! 新システムを使った初めての検診実習が行なわれました 新大阪歯科衛生士専門学校
滋慶学園グループの医療教育分科会歯科衛生チームと、国家試験対策センター(国試センター)、ブレーンスタッフコンサルタント(BSC)が、タブレットにデータを入力し、過去の検査結果との比較もできる教育用の「歯科検診システム」を共同開発しました。このシステムを活用した初めての検診実習が、大阪市淀川区の新大阪歯科衛生士専門学校で行われました。
実習では、歯科医師や歯科衛生士が検診を行い、データ入力をする助手と受診者(患者)は学生がつとめました。学生たちは歯と口の健康づくりの重要性を体得。3年生にとっては、新型コロナウイルスの流行の影響で出来なくなった診療所での実習に代わる臨地実習となりました。
歯科の診療や検診では、虫歯の有無や歯ぐきの健康状態、細菌のかたまりであるプラーク(歯垢)や石灰化した歯石の検査を行います。
検査データは、歯科衛生士がその場で用紙に筆記するというやり方でしたが、最近はタブレットなどに入力するクリニックが増加しています。デジタル化によって、検査結果をすぐに受診者に知らせることができ、データを蓄積することで口腔内の中長期的な健康管理にも効果があります。
また、検診の内容やその評価は、国家試験の頻出範囲でもあることから、新大阪歯科衛生士専門学校を中心とする歯科衛生チームでは国試センターとBSCに、教育用のシステム開発を依頼。約1年にわたり三者で開発に取り組み、このほど完成しました。
歯と口の健康づくりの重要性を学ぶ 臨床現場に即したデータ入力
タブレットを使った実習は、6月17日(水)、18日(木)、25日(木)の3日間行われ、歯科医師とプロの歯科衛生士の指導の元、同校の歯科衛生士学科(昼間部・夜間部3年制)の全学生約380人に加え、姉妹校の新大阪歯科技工士専門学校の1年生約80人も参加しました。
実習の目的は「歯と口の健康づくりの重要性について意識付けを行うことにより、学生の歯科口腔保健の支援と意識向上を目指す。また、3年生は臨床現場に即した歯式などの入力(記録)の仕方を学ぶ」です。
「自分の口腔内状態を確認できる」という到達目標と、「自分の口腔内に興味を持ち、日々の口腔ケアにつなげてほしい」という教員の願いも、学生たちに伝えられました。
18日(木)夕方の夜間部の実習は歯科医師3人、歯科衛生士6人が検診し、1年生約70人が患者役(受診者)、3年生約20人が助手として記録を担当しました。
3年生が問診で後輩に「自分の歯は何本ありますか?」「歯を磨くと血が出ますか?」「冷たいものや熱いものが歯にしみますか」などと質問し、答えをタブレットに入力していきました。
検診データの蓄積で、ケアプラン策定の実習にもつなげる
続いて、プロの歯科衛生士がプラーク(歯垢)や歯石の状態、歯周病の進行具合の判断材料になるBPO(歯と歯ぐきの間の溝を検査した時の出血の有無)などを検査。
さらに歯科医がう蝕(虫歯)の進行状況や要観察の歯の有無をチェックし、顎関節や歯列・咬合(しれつ・こうごう、歯並びと咬み合わせ)などに関する所見を示しました。
医師や歯科衛生士はそれぞれ、口頭でデータを伝え、3年生がタブレットに記録していきました。
新大阪歯科衛生士専門学校では、歯科検診実習について、3年生の記録の取り方を学ぶ臨地実習として位置づけるだけでなく、歯科検診システムを活用して学生1人ひとりのデータを蓄積することによって、歯科衛生過程におけるケアプラン策定の実習にもつなげたい、としています。
壺井佳見学科長は「本校の学生にとっても、新大阪歯科技工士専門学校の学生にとっても、自分自身の歯と口の健康の状態を知り、ケアを心がけていくことで、初めて患者さんに向き合い、口腔衛生指導ができるのです。そのためにも新システムを十分に活用していきたいと考えています」と語っていました。
助手をつとめた夜間部3年生の福永千紗さんは「検診実習は初めてなので少し緊張しましたが、なんとか出来ました。問診ではページに書いてある通りに読むのはどうかな〜と思い、相手を見て質問の仕方を変えたりしました。実際の現場では、お年寄りや子どもなど様々な患者さまを対象にするので、コミュニケーションの方法についても学んでいきたい、と思いました」と、感想を話していました。
今回の歯科検診システムを使った実習の様子は、姉妹校の新東京歯科衛生士学校にもZoomで配信されました。