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臨床工学を学ぶアジアの学生・院生らが研究28演題のポスター発表を行ないました 第4回アジア臨床工学フォーラム
2019.12.27
今秋、アジア10カ国・地域から臨床工学に携わる医師や臨床工学技士ら約300人が参加して東京で開かれた「第4回アジア臨床工学フォーラム」(学校法人大阪滋慶学園・滋慶医療科学大学院大学など主催、文部科学省など後援)。併設イベントとして学生や院生・社会人らによる「ポスター発表」が行なわれ、過去最高の28演題がエントリー。滋慶学園グループからは、大阪ハイテクノロジー専門学校など5校の臨床工学技士科で学ぶ学生らが、大学院生や大学生、社会人技士らと肩を並べて堂々と研究を発表し、注目を浴びました。
中でも「遠心ポンプやローラーポンプの入口圧力計測によるキャビテーション検知の検討」を発表した出雲医療看護専門学校臨床工学技士学科の内村駿さんは、優秀ポスター賞の日刊工業新聞社賞に選ばれ、日刊工業新聞社取締役西日本担当の竹本祐介大阪支社長から賞状と記念品を贈られました。
滋慶学園グループから5校の学生が研究成果を発表
ポスター発表は展示発表とプレゼンテーション発表の2形式で行なわれ、プレゼンテーション発表はフォーラム会場とは別の小ホールで大阪ハイテクノロジー専門学校の小林義史先生の司会により各自の持ち時間4分で行なわれました。
トップバッターとして姫路医療専門学校臨床工学技士科の北野寧々さんが「ヒューマンエラー軽減に向けたBed Lock Alert Systemの構築」(共同研究=北野、宇治、小笠原)のテーマで発表しました。
北野さんらは、ベッドのキャスターロック忘れによる病院での事故を防ぐために、ロックをし忘れた時にアラームを発生させる事故防止システム構築に挑戦し、センサーによってロック時とアンロック時の傾斜角度からデータを取得、ロックをし忘れると警報ブザーが鳴り、ベッド脇に取り付けたチップLEDが点灯する論理プログラムを組み上げてヒューマンエラー防止のBed Lock Alert Systemの構築に成功した、と発表しました。
東京医薬の栗原さんがすべて英語でポスター研究を発表
次いで大阪ハイテクノロジー専門学校 臨床工学技士科の中嶋毅徳さんが「standard凝固法とsoft凝固法の止血作用の実験的検討」(共同研究=中嶋、加藤、井川、大﨑、畑)をプレゼン、また東京医薬専門学校臨床工学技士科の栗原そらさんはすべて英語で「光音響現象を用いた回路内凝結の早期検出の可能性について(Possibility of early detection of blood clot in circuit using photoacoustic phenomenon)」(共同研究=西川、阿部、久米、栗原、鈴木、倉橋、小林、齋藤、中村、藤井、奥山、鈴木)を発表。プレゼンのパワーポイント資料も英語で作成し、LEDを用いた光音響イメージングによって体外循環回路内の凝血測定を早期に行なえる可能性があることを示しました。あまりに流暢な英語によるプレゼンに会場からは大きな拍手が起こっていました。
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英語でプレゼンする東京医薬の栗原さん
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ポスター展示でも研究内容を説明
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研究についての説明を受ける浮舟総長や古島常務理事
さらに北海道ハイテクノロジー専門学校臨床工学技士学科の大坂崇斗さんが独立行政法人「地域医療機能推進機構札幌北辰病院」ME部との共同研究「スマートフォンを用いた自己学習と医療機器操作マニュアルのIT化」(北海道ハイテクノロジー専門学校=大坂、浅井、佐藤、腰丸、大井、札幌北辰病院ME部=斎藤、真下)をそれぞれ次々と発表しました。
この中で、「遠心ポンプやローラーポンプの入口圧力計測によるキャビテーション検知の検討」(共同研究=内村、金井、勝田、河行)をプレゼンした出雲医療看護専門学校の内村駿さんは、透析治療の体外循環の際に気泡が発生し、ポンプの劣化や空気塞栓など人体に危険な影響を及ぼす恐れのあるキャビテーションの発生を初期段階で検知することによって事故防止につなげたいと考え、2種類のポンプを使って、入口と出口の圧力や流量とマイクロバブルの発生状況についての計測実験を繰りかえし、その結果、ポンプ入口の圧力を計測することによって、初期のキャビテーションの派生を検知する可能性を確認できた、と成果を発表しました。
最優秀賞は上海健康医学院の張さん、優秀賞は埼玉医科大学大学院医学研究科の榎本さん
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最優秀賞の張さん
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上海健康医学院の発表資料
28演題の発表後、フォーラムの本会場で優秀ポスターの受賞者が発表され、最優秀賞に超音波によって障害物を検知できる目の不自由な人のための杖の研究「広域超音波盲導杖」を発表した上海健康医学院の張サン(火ヘンに山)さんが選ばれました。優秀賞には大成建設株式会社や滋慶医療科学大学院大学との共同研究「医療機関における無線LAN環境可視化システムの構築」を発表した埼玉医科大学大学院医学研究科の榎本幸佑さん(榎本、川邉、遠藤、加納)が選ばれました。
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優秀賞の表彰を受ける埼玉医科大学大学院の榎本さん
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日刊工業新聞社賞の上海中医薬大学、裴さん
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同じく日刊工業新聞社賞の北里大学大学院、木原さん
また優秀ポスター賞の日刊工業新聞社賞に出雲医療看護専門学校の内村駿さんが選ばれたをはじめ、「知能的睡眠時間監視と介入システム」を発表した上海中医薬大学の裴華夫さん、北里大学医療衛生学部との共同研究「拡張現実デバイスを使用した人工呼吸器トラブルシューティングのためのシミュレーションベースのトレーニングシステムの開発」を発表した北里大学大学院医療系研究科の木原拓馬さん(木原、塚尾、守田、小川、有阪、廣瀬、稲岡)がそれぞれ選ばれ、浮舟邦彦総長や日刊工業新聞社取締役西日本担当の竹本祐介大阪支社長から賞状と記念品がそれぞれ受賞者に贈られました。