お知らせ
News
世界で活躍できるパティシエへ「第10回クープ・ジケイ ドゥ ラ パティスリー」が開催 優勝は福岡キャリナリー製菓調理専門学校が獲得しました
2019.12.09
世界で活躍できるグローバルな視点をもったパティシエに成ってもらいたいと滋慶学園グループの「第10回クープ・ジケイ ドゥ ラ パティスリー」が11月9日(土)、神戸・三ノ宮の神戸製菓専門学校を会場に行われました。コンテストの模様はネットで各校に生中継されました。
滋慶学園グループ食文化教育部会が主管し、①学生時代からコンテストを通じて、人々に幸せを与えられる製菓技術者の精神を学ぶ、②9校の代表学生が一堂に会し、知識・技術の研鑽とキャリアマネジメントを身につける、③業界を代表する審査員の先生方から評価を受けることによって、将来の日本を代表するようなスペシャリストを輩出する、を目的として、2010年より毎年開かれてきました。
コンテストには、開催校の神戸製菓専門学校をはじめ、
札幌ベルエポック製菓調理専門学校、
仙台コミュニケーションアート専門学校、
埼玉ベルエポック製菓調理専門学校、
東京ベルエポック製菓調理専門学校、
赤堀製菓専門学校、
名古屋コミュニケーションアート専門学校、
大阪キャリナリー製菓調理専門学校、
福岡キャリナリー製菓調理専門学校の
滋慶学園グループ9校の2年生代表18人が2人ずつペアでチームを組んで参戦しました。
優勝は福岡キャリナリー、準優勝は大阪キャリナリー、審査員特別賞に埼玉ベル製菓
学校で学んだテクニックと知識、情熱の限りをぶつけた4時間に及ぶ熱戦の末、福岡キャリナリー製菓調理専門学校チームの太田さんと雪野さんチームが初優勝に輝き、準優勝には大阪キャリナリー製菓調理専門学校チーム、審査員特別賞には埼玉ベルエポック製菓調理専門学校チームがそれぞれ選ばれました。
競技に先立ち、午前8時半から開会式が行われ、神戸製菓専門学校の川口延子学校長が「第10回のクープ・デュ・ジケイの開会を宣言します」と開会を宣言。審査員の先生方をはじめ、各校学校長や斎藤常務理事、古島常務理事ら来賓の紹介、大会運営委員で神戸製菓の学科長、丹埜裕先生による大会規定発表のあと、各チームの選手がエントリーナンバー順に紹介されました。
審査はお菓子の世界大会で活躍の素晴しいトップシェフの先生方
審査員は、クープ・デュ・モンド総合2位をはじめ数々の賞を受賞、クープ・デュ・モンド国際審査委員や日本チーム団長を務めたほか、多くの著書を出版し日本洋菓子協会連合会公認技術指導委員長などの経歴を持つ審査委員長の柳正司先生をはじめ、
クープ・デュ・モンドの氷彫刻部門で個人優勝、2013年と2018年には「ワールドチョコレートマスターズ」に日本代表として出場、世界4位に入るなど活躍、現在は京都の「アッサンブラージュ カキモト」のオーナーシェフを務める垣本晃宏先生、
そして西日本洋菓子コンテスト連合会会長賞、クープ・デュ・モンド第15回大会国内予選アントルメ・ショコラ/アメ細工A部門金賞に輝き、フランスでの世界大会で銀メダルを受賞するなど活躍、現在は「アンリシャルパンティエ」の商品開発部統括マネージャーを務める駒居崇宏先生の3人。
3人の先生方や各校の“応援団”が見守る中、選手の皆さんは、緊張の中、「やるぞ!」という気合を込めてそれぞれ会場へ。各校の先生方から「頑張れよ!」「思い切りやって来い!」と背中をドンと押されて2教室に分かれて入場。「よろしくおねがいしま~す」とそれぞれが頭を下げて、午前9時きっかりに、4時間に及ぶコンテストが始まりました。
「自然」をテーマにピエスモンテ1題とアントルメ3題に挑戦 4時間にわたる熱戦を展開しました
今大会のテーマは「自然」。台座30cm四方、高さ45cm以内のピエスモンテ1作品と、シャルロットサイズ15cmのアントルメ3台を製作、設定定価1台あたり4,000円、原価30%以内という条件が与えられ、その作業態度や完成度を競います。
各選手とも春から連日、遅くまで学校に居残って猛練習を重ね、各校での厳しい予選を勝ち抜いてこの場に立つことができました。まず、各チームの選手たちは調理台をきれいに拭いたあと、準備や下ごしらえから開始。ピエスモンテ部門では、アメを温めては、全体重をかけて懸命にこねて、伸ばしていきます。渾身の力を集中させるため、顔はみるみる真っ赤に染まっていきます。会場全体が熱気に包まれ、あちらこちらに用意された時計の針がまるで選手を煽り立てるように時を刻んでいきます。
各校の先生方や保護者の方も応援
緊張は会場の外にも伝わり、廊下のホールでは、各校の先生方が作業が予定どうりに進んでいるか窓越しに調理場にいる選手たちの手元に目を注いでいます。保護者の方も何組かかけつけ、心配げに手をぎゅっと握り締めておられます。「頑張れ、頑張れ!」。応援するほうも必死、心の中の応援が聞こえてきます。
リッツカールトンホテル菓子部門で腕を磨いたという神戸製菓専門学校学科長の丹埜先生は、運営委員の一人として、各校の選手たちの動きを見ながら、「皆さん、頑張って練習してきたなというのが、場面場面に出ています」と、優しげな表情で見守ります。
-
浮舟総長や古島常務理事の姿も
-
応援に力が入る先生方
最後まで頑張るチームに大きな拍手
やがて、「残り10分」 「残り5分」と時間は迫り、すでに調理台を片付け出すチームがいる中で、まだ最後の仕上げに行き着いていないチームも。「おわりました!」。次々と各チームが手を上げ、終了を告げるなか、第一会場の大阪キャリナリーチームだけがアメ細工の最後の仕上げが残っています。廊下で写真を撮っていた同校入職1年目の王先生もパティシエのコンテストの観戦は初めて。「間に合って!」と、ぎゅっと手を握り締め、心配そうに見守っていました。
見ている方は冷や冷やしましたが、さすが練習に練習を重ねてきたチーム。時計が体に刻み込まれているのか、タイムアップと同時にピタッと完成! 観覧席からはホッとため息が漏れました。
-
時間との勝負に賭ける大阪キャリナリーチーム
-
心配そうに見守る先生方
時間との戦いの中、ピエスモンテの接合部分が緩んで先端部が落下するアクシデントに見舞われたチームもありました。選手の心はもうパニック状態です。それでも懸命に自分を落ち着かせ、残っていたバラの花を取り付け、なんとか形にしていきます。「試合終了!」のアナウンスが流れます。予定より小ぶりの作品になってしまいましたが、廊下の観覧席からは、最後まであきらめない姿勢にひときわ大きな拍手が湧きあがりました。
9チームが審査員の先生方の前で作品のプレゼンを行ないました
このあと、各チームが作成した作品についてのプレゼンテーションを行い、審査員の先生方が各プレゼンを聞きながら、アントルメの試食を行い、質問を発し、作業中の態度や作品の出来栄えについて感想を述べました。
各チームからは、自分たちが全力で取り組んできた作品への想いや、こだわりの点、苦労したことなど、自信を持って説明していきます。先生からの質問に対して、学生たちは一つ一つ丁寧に答えて行きます。審査員の先生方からはそれぞれのチームに対して、「表面の処理をし忘れていますね」とか「アメはツヤが命です、暖めすぎは良くない」「こじんまりしすぎています。もっとダイナミックに」と厳しい指摘があったものの、「バランスがとれているし、味もすばらしい」「食材へのこだわりが素晴しい」「学生が作ったとは思えない素晴しい出来栄え」「あなたの力なら将来きっと世界の大会で活躍できると思う」と、何組ものチームにお褒めの言葉がありました。
時間を十分にかけられず先端の接合がうまく行かなかったチームには、審査員の先生から「ピエスモンテは残念でしたが、途中、バラも上手にひいてツヤもしっかりと出ていました。スフレも印象に残りました。台の部分の接着は私がやっても難しいのにうまくやっており、あなたなら今回の経験を生かしてステップアップしていけるとおもいます。ぜひ頑張ってください」と励ましのコメントがありました。
いずれのチームも途中で止まることなく、審査員の先生方の方を向いて最後まで堂々とプレゼンを行い、会場の内外から大きな拍手を浴びていたのが印象的でした。
このあと、試食会と審査の集計が行なわれ、最後に閉会式の式場で賞の発表が行なわれました。
ピエスモンテ賞は福岡キャリナリー、アントルメ賞は大阪キャリナリーが獲得
-
柳委員長から審査委員長賞を授与される埼玉ベルチーム
-
準優勝を獲得し浮舟総長から表彰される大阪キャリナリチーム
緊張の表情で各チームのペアが居並ぶなか、まず、ピエスモンテ賞に福岡キャリナリー製菓調理専門学校チーム、アントルメ賞に大阪キャリナリー製菓調理専門学校チームが選ばれました。
次いで、取り組みの姿勢が高く評価されるチームに贈られる審査員特別賞が発表され、柳審査委員長から埼玉ベルエポック製菓調理専門学校チームに賞状と副賞が贈られました。
さらに準優勝の発表が行なわれ、大阪キャリナリー製菓調理専門学校チームの名前が読み上げられ、浮舟邦彦総長から賞状と楯、副賞が贈られました。いよいよ残るは、優勝チームの発表のみです。
第10回大会の栄冠は福岡キャリナリー製菓調理専門学校チームに
会場の全員が固唾を飲む中、「第10回クープ・ジケイ ドゥ ラ パティスリー、優勝は福岡キャリナリー製菓調理専門学校です。壇上に上がってください」とアナウンスがあり、二人は一瞬、信じられないような顔をしながら拍手の中、壇上に向いました。その後ろには、指導にあたった先生方も並びました。
浮舟邦彦総長から「おめでとう、よく頑張りました」と、賞状と楯、副賞を次々と授与され、第一回目からの優勝チームのタグがつけられた優勝トロフィーが贈られました。また柳審査委員長から兵庫県洋菓子協会会長賞が贈られました。
授賞式に続いて各審査員の先生方から講評が行なわれました。
審査委員長の柳正司 先生が講評 「最初の練習であきらめてはダメ」
審査委員長の柳正司 先生からは、「きょうは優勝チームが涙を流さなくてホッとしています。私も誘われて大変なので」と冗談が飛び出したあと、「生徒さんは毎年変わりますが、年々レベルアップしています。本当に練習をしているなと思いました。現場でやっているスピードだし、学生とは思えない素晴らしい仕事をしているな、とみていました。
あえていえばアメに最高のツヤを出すためにどれだけ面倒をみるか、それを見極められるプロの目をこれからどう作っていくかということです。より上を目指すにはそういうところを気にすれば、素晴らしい作品ができると思います。将来、世界に出て賞をとっていけるだろうなというチームもありました」と講評。
これからについても、「菓子職人は地味な仕事です。どんな状態でお客様に召し上がっていただくか、最後まで考えられるか、それを永遠に情熱的に続けられるかが本当の職人だと思います」と、辛いことも乗り越えて欲しいと激励していただきました。
駒居崇弘先生からは、「お一人お一人が一生懸命で、プロの仕事やコンクールに引けを取らないレベルの高いお仕事をされていました。まだまだ改善できる余地や精進しなければいけないこともありますが、5年後、10年後にこの中からきっとグローバルな人材が出てくるのではないかと思っています」、
垣本晃宏先生からは、「コンクールは技術を競う場ですが、仲間を作る場でもあります。お互いのコミュニケーションが大きな力になると思うので、今日のうちにしっかりと伝えておいてもらえたらと思います。この仕事は、やればやるだけ返ってくるので、自分自身の人生の成功のためにも頑張ってください」とアドバイスをいただきました。
浮舟総長 「今日のことを誇りに思って下さい」
浮舟邦彦総長は、審査員の先生方にお礼を述べ、選手の皆さんに言葉をかけました。
「ここに出場するまでが大変だったと思います。それぞれの学校で勝ち抜いて代表としてここに出てこられるということが、そもそも大変だったと思います。緊張する中で今日、賞をもらった人も、もらえなかった人もいますが、皆さんはこんなに素晴らしい先生方に見ていただいて、評価されて、これからパティシエの道を歩んでいくんだ、ということを誇りに思っていただきたいと思います。そして、このコンテストが皆さんの気づきの場として、これからのパティシエとしての気づきにつながっていってもらえたらと思います」と閉会の言葉を述べ、選手たちの労をねぎらいました。
[優勝作品] 福岡キャリナリーアート専門学校チーム(太田さんと雪野さん) 「静寂の一瞬」
森で生きている動物たちをイメージし、カメレオンをメインに花やチョウチョ、カエルなどが生きる森の中での一瞬を表現しました。アントルメは、出身地の沖縄と山口の素材の島バナナと柚子を使い、キャラメリーズしたクルミを入れて、食感を楽しめるケーキにしました。
[準優勝作品] 大阪キャリナリー製菓調理専門学校チーム(田花さんと岡田さん) 「食いしん坊のオオハシさん♪」
南国の明るさと爽やかさをイメージした作品をと、出身地の高知県のトロピカルフルーツを組み合わせたアントルメと、南国の鳥、オオハシをメインにしたピエスモンテに挑戦。オオハシは大きなくちばしを表現するために、中が空洞になるように流し飴で工夫しました。
[審査員特別賞] 埼玉ベルエポック製菓調理専門学校チーム(細川さん、菅原さん) 「abeille~自然の恵み~」
テーマを決めるのに苦労しましたが、ピエスモンテには蜂を、アントルメにはハチミツをつかって繋がりを持たせようと考えました。アントルメはハチミツをメインにしたリンゴとハチミツのムースを作り、リンゴ酒や黒コショウで風味を出しました。ピエスモンテは蜂のお尻のシマ模様に苦労しました。
[各校チームの力作]
赤堀製菓専門学校 「大地の息吹」
神戸製菓専門学校チーム 「実り」
札幌ベルエポック製菓調理専門学校 「THE NEW ONE SIDE~新たな一面~」
仙台コミュニケーションアート専門学校 「きらめき」
名古屋コミュニケーションアート専門学校 「恵みの秋」
東京ベルエポック製菓調理専門学校 「秋日和」
終了後は和やかに交流
大会終了後は、賞を取って喜ぶ選手の皆さんや学校の先生方がいる中で、悔し涙を流している選手もいました。それでも仲間や先生方から慰められ、最後はライバル同士が交流しながらお互いの作品を試食し合い、批評しながら将来の夢を語り合っていました。
-
戦い終えて。先生も交え、お互いの作品を試食しながら交流する選手の皆さん
-
全員で記念撮影です