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災害に備え地域社会とつながろう! 大阪ハイテク 留学生が取り組みを卒業研究として発表

卒業研究・課題研究発表会で、留学生が防災の取り組みを発表しました

 大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科の留学生たちにとって、昨年6月18日午前7時58分に発生した大阪北部地震(最大震度6弱)は、初めて経験する大きな地震でした。学校でも避難訓練は実施しており、知識は得ていましたが、揺れたとたん寮の外へ飛び出していました。留学して1年。日本の文化や習慣、日本の生活にも慣れたと感じていたようですが、そのような時に経験した大きな地震をきっかけに、「まだ実際には防災について知らないことがたくさんある」と気づいたようです。

 このため、後期の「日本事情」の授業で、留学生たちが地域の方々の協力を得ながら防災について学ぶという取り組みを実施。その成果をこのほど大阪市中央公会堂で行われた平成30年度の卒業研究・課題研究発表会で報告しました。

 まずは、「自分で自分を守る」ために、地震について知ることから始めました。留学生の多くは寮に住んでいます。寮では年間100名ほどの1ヶ月~3ヶ月の短期研修生も受け入れています。彼らにも地震の経験はありません。そこで、寮がある東淀川区役所に相談し、昨年秋に保健福祉課の方に「防災学習会」を開いていただきました。1ヶ月研修に来ていた47名の短期研修生も一緒に参加しました。

避難訓練の説明会

 「知識だけでは正しく動けない」という前回の地震の教訓から、学生たちが主体となりクラス全員で避難訓練を実施しました。1週間ほど前からグループに分かれ、より安全な避難方法を考え、プレゼンテーションソフトで資料を作成し、避難所までの危険な箇所の確認も行いました。

 「防災学習会」の後、留学生と短期研修生74名は寮で、より磨き上げられた避難訓練を実施しました。経験がある留学生が寮の各階でリーダーとなり、研修生に指示を出しました。さらに、寮の横にある駐車場へ集合し、みんなで地域指定の避難所まで行きました。このような取り組みを積み重ねる中で、学んだこと・気づいたことを後輩や今後の研修生にも伝えておきたいと考え、寮の避難マニュアルを盛り込んだ防災手帳と、学校から寮までの通学・防災マップを作成しました。

  • 手作りの防災手帳には寮の避難マニュアルも

  • 学校から寮までの通学・防災マップ

地域の餅つき大会にも参加しました

 このような活動を続ける一方で、地域の避難訓練にも参加できないか、日本で生活する一員として留学生でも地域の活動にも参加できないか、という声が上がりました。そこで、学校がある淀川区のまちづくりセンターに相談。担当の方から学生寮がある東淀川区のまちづくりセンターの方を紹介していただきました。その結果、12月の上旬に西淡路小学校の学童保育を見学するチャンスをいただき、西淡路地区の餅つき大会にも誘っていただきました。

 餅つき大会では、手にまめを作りながらも200キロのもち米をつき、地域の皆さんと、きな粉餅を作りました。帰り際に、「来年もまた来てや!」「これからも地域とかかわってな!」と、温かい声をかけていただき、留学生は嬉しそうでした。

 大阪北部地震をきっかけに、クラス全員が今回の取り組みに参加したことで、それぞれが主体的に動くことの大切さを学び、自分たち留学生でも地域で役に立てることがあるという気づきを得ることができました。また、このことが、各々の自信につながったと思います。

 今回、学生たちが何よりも喜んでいたのは、卒業研究課題研究発表会でこの取り組みについて発表し、皆さんからお褒めの言葉をいただけたことです。

 3月には学校がある西中島地域の春祭りに、ボランティアとして参加予定です。

 地域との交流は始まったばかりですが、今後この取り組みを後輩たちに引き継ぎ、少しずつこの輪を大きくしていきたいと考えています。

(大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科 教員 山上 直子)