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大阪府教委との連携による“出前授業” 私立高校の生徒の皆さんに仕事の魅力を伝えました!
医療、福祉、スポーツ、動物飼育、デザイン、アニメーション…。大阪府教育委員会との連携協定に基づく滋慶学園グループの“出前授業”はバリエーションに富んだ学びの機会です。グループの各専門学校は、2018年も大阪府立高校をはじめ、多くの高等学校・支援学校で授業を行いました。今回は、その中でも、私立高校での“出前授業”をリポートしました。
“犯人特定”につながる科学捜査 DNA鑑定を体験!
香里ヌヴェール学院高等学校
大阪ハイテクノロジー専門学校
香里ヌヴェール学院高等学校(大阪府寝屋川市)の授業は「DNA鑑定実験」。バイオ技術者の仕事です。プロが使うのと同じ実験器材、専門的な設備などが必要なので、“出前授業”といっても、生徒が大阪ハイテクノロジー専門学校で学び、体験するという形で行われました。講師は生命工学技術科の和田有矢先生です。
受講したのは、理科系に特化して学力強化を図る同高校のスーパーサイエンスコース1年の生徒23人で、10月25日(木)に大阪ハイテクを訪れました。犯行現場の鑑識捜査官という想定で、現場に残されたDNAサンプルと、仮想上の容疑者4人のDNAを分析し、「犯人探し」をするという体験授業です。
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バイオサイエンスの基礎について講義をする和田先生
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DNAを増幅させるPCRの手順を学びます
和田先生はまず、医療・医薬品、化粧品・化学、環境・植物、食品などの分野で、広く活用されているバイオサイエンスの仕事の内容、さらに遺伝子治療の最前線の話題、DNAの構造や働きなどの基礎的な知識について、わかりやすく解説しました。なかでも微量のDNAから、特定の部分だけを大量に複製することができるポリメラーゼ連鎖反応(PCR)は、今回のテーマの犯人特定につながるDNA鑑定や、医学的な診断などに不可欠な技術なので、みんな熱心に聞いていました。
その後は4つのグループで、いよいよ犯罪捜査を想定したDNA鑑定の体験です。実際にPCRを使って複数のDNAサンプルを増幅させ、続いてアガロース(寒天の主成分)ゲルを使用した数十分間の電気泳動、ゲルの染色までの作業を行い、遺伝子型の分析・特定をしました。科学捜査研究所などで行うのと同じ手法です。
今回は、午前中から夕方までたっぷり時間を使った内容の濃い授業。サイエンス好きの好奇心旺盛な生徒たちだけに、ワクワクしながらも真剣な表情でDNA鑑定体験をしていたようでした。
医療費の仕組みを理解し、お辞儀の作法&言葉遣いのマナーも学ぶ
クラーク記念国際高等学校大阪天王寺キャンパス
大阪保健福祉専門学校
クラーク記念国際高等学校大阪天王寺キャンパス(天王寺区寺田町)では10月31日(水)、大阪保健福祉専門学校の教務副部長、吉﨑歌葉子先生が「医療秘書の仕事」と「サービス接遇」をテーマに、2コマの授業を行いました。
吉﨑先生の医療秘書の授業では、「病院に行くときに必ず持っていくものは何ですか?」との質問に、生徒たちは反応よく「健康保険証」と答えていました。模擬カルテを配布して、「B.T38.0℃」は「ボディ・テンペラチャー」の略で体温、「分3」は朝・昼・夕食後の3回服用、「3TD」は3日分の薬という意味で、ケフラールは抗生物質、PLはかぜ薬、イサロン顆粒は胃薬…など、カルテにある医療用語や薬品について説明をしてくれました。
また模擬カルテを元に保険点数「1点=10円」の医療費の計算も行い、初診料282点、薬代68点、処方料42点などのトータル419点。「薬剤情報提供10点」とあるのが処方してもらった薬の説明資料にかかる報酬のことなど、病院が患者に請求する医療費には、施された診療行為だけではないことも説明していました。
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カルテに書かれた内容を説明する吉﨑先生
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30°のお辞儀の作法を身につける生徒
サービス接遇では、お辞儀、言葉遣いなどのマナーの型(基本)について授業を行いました。お辞儀には曲げる角度によって15°の会釈、30°の敬礼、45°の最敬礼の3通りのパターンがあります。吉﨑先生はこのうち、ビジネスシーンでもよく使われる30°のお辞儀の仕方を指導しました。首を曲げず必ず腰を曲げるように意識すること、そのために目線を少し遠くの床に向けることなどの基本の姿勢を教えました。実際に生徒にやってもらったお辞儀の姿勢を、先生は一人ひとりチェックしていました。
また、大阪保健福祉専門学校の学生が受検している「サービス接遇検定準1級」(実技試験)の問題を取り入れながら、言葉遣いのマナーも指導。実際の接客の場面を想定して店員と客の役割を演じてもらうロールプレイを行い、充実した授業となりました。
視能訓練士、診療情報管理士 仕事の将来性や魅力を知ってもらいました!
クラーク記念国際高等学校大阪天王寺キャンパス
大阪医療福祉専門学校
クラーク記念国際高等学校大阪天王寺キャンパスでは11月14日(水)にも、大阪医療福祉専門学校の視能訓練士学科副学科長、山下尚美先生が「視能訓練士」の仕事について、また診療情報管理士学科の専任教員、長弘美澄先生は「診療情報管理士」をテーマに授業を行いました。
山下先生は、まず視能訓練士の仕事について解説しました。眼鏡などで矯正しても視力が回復しない弱視や、片方の目が正面を向いてもう片方が違う方向を向く斜視などの患者の検査と、それに基づく視能訓練など専門的な仕事があります。また眼科の一般的な検査として、視力検査・視野検査・眼圧測定など眼の“健康を守る業務”へと多岐に広がっており、コンタクトレンズや眼鏡を合わせるのも大切な仕事です。
基礎知識として、角膜や網膜など眼の構造と光の屈折のしくみや、眼に入った映像が脳に伝わる「視覚伝導路」といわれる経路の説明もありました。左眼の鼻側(右側)の視野は網膜の左側(耳側)に投影され、外側膝状体、視放線などの神経経路を通って脳にいきます。先生は専門的な内容をわかりやすく生徒たちに教えていました。
眼の奥にある「眼底」では、直接、肉眼で網膜の血管組織を見ることができ、山下先生の指導で生徒たちは隣同士で、毛細血管の観察をしていました。
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視覚がどのように伝わるかを解説する山下先生
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長弘先生は学校の魅力も説明しました
長弘先生は自己紹介にあわせ、医療・福祉業界のプロをめざす教育システムや、地域・社会貢献活動で実践力を磨いていることなど、大阪医療福祉専門学校の魅力を説明。そのなかで、地域スポーツの現場でクラブとして活躍しているメディカル・トレーナー部、地域の老人ホームなどでの介護予防教室の開催、視覚障がい者マラソンなどをサポートするボランティア、地域の子ども対象の「ことばの相談室」など、学校の特長を活かした活動について紹介しました。
診療情報管理士は、高い情報技術を駆使して病院の経営全体を支える専門性の高い仕事です。病名をアルファベットと数字のコードで表し、外国語の表記もふくめて一括して整理できるICDコーディングの知識、診療報酬を評価するDPC業務、マーケティングデータの分析など、医師とは違った立場で病院をサポートしています。診療情報のすべてを把握するスペシャリストとして、医療機関からの需要も高く、就職にも有利といえます。
長弘先生はこうした診療情報管理士の将来性と魅力について、クラークの生徒たちにたっぷり語りかけていました。