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「第13回滋慶学園国際部ミーティング」 海外研修時の危機対応シミュレーションを行ないました

「平成29年(2017)度 滋慶学園グループ国際部ミーティング」。第三部では海外研修時での事故遭遇を想定して、浮舟総長が対策本部長に就任し、海外の現地本部との緊迫の「対応シミュレーション」が行なわれた

 滋慶学園グループの本部国際センター、各校国際関係部門やアメリカ、ヨーロッパ、オーストラリア、中国、韓国といった海外駐在部門の関係者が一堂に会する「平成29年(2017)度 滋慶学園グループ国際部ミーティング」が7月28日(金)、29日(土)の2日間にわたって滋賀県の研修施設・湖邸滋びわこクラブで開催されました。 
 13回目を迎える今年は、各校が展開する国際教育プログラムの報告や英語教育、日本語教育、職業教育の国際通用性についての討議とともに、世界各地で頻発するテロや災害、事故などに学生が巻き込まれた場合を想定した「危機対応のシミュレーション」が行なわれ、海外研修の際の学生の安全や万一の場合の対応等について議論が行なわれました。また、神戸医療福祉専門学校三田校は日本で唯一、義肢装具に関する教育機関としてISPO(世界義肢装具協会)から世界基準のカテゴリー1校の認定を受けていますが、そのISPOの国際大会が、パラリンピックが行なわれる前年の2019年秋に国や兵庫県、神戸市の支援を受けて、30年ぶりに神戸で開催されることが報告されるなど、今回も活発な会議となりました。

冒頭、国際教育顧問の故ウォリック・カーター先生に黙祷を捧げました

国際教育顧問の故ウォリック・カーター先生に黙祷を捧げました国際教育顧問の故ウォリック・カーター先生に黙祷を捧げました

 会議には、国際関係部門などから約70人が参加。冒頭、ニューヨークで展開する海外校のザ・コレクティブスクールオブミュージックの名誉学校長で7月15日(米国時間)にがんのために75歳で亡くなられた国際教育顧問のウォリック・カーター先生に全員で黙祷を捧げました。カーター先生はバークリー音楽大学(滋慶学園の提携校)の副学長やディズニーランドのエンターテイメント・アート部門の責任者を勤めたあと、最近まで米屈指の音楽芸術系大学コロンビア・カレッジ・シカゴの学長を務められました。20年近くにわたって滋慶学園グループの国際教育顧問を務め、この春の入学式には元気な姿を見せておられただけに、出席者一同、改めて悲しみに包まれました。
 このあと、同じく滋慶学園グループの浮舟邦彦総長と共に、30年間にわたって医療秘書教育全国協議会の会長として、医療秘書教育の発展に尽くしてこられた日野原重明先生が7月18日に亡くなられました。翌日、同協議会の代表として日野原先生の告別式に参列することになっている浮舟邦彦総長は、長年にわたる職業教育の盟友であり、師であり、よき理解者だった2人の国際人を同時に失い、とりわけ沈痛な表情でした。

浮舟総長が基調講演 「国際通用性の視点から我々の職業教育を再点検しよう」

基調講演を行なう浮舟総長基調講演を行なう浮舟総長

 初日の全体会議は本部国際センターの渡辺英緒・エグゼクティブディレクターの進行で行なわれ、滋慶学園グループの浮舟邦彦総長によるキーノートスピーチで始まりました。気を取り直した浮舟総長は滋慶学園グループが「実学教育」、「人間教育」とともに「国際教育」を重要な教育の柱として草創期から建学の理念の一つに据えてきた歴史を社会の変遷に照らし合わせて振り返ったあと、「今、日本の高等教育が世界で通用するかという国際通用性が問われている。そして国を越えてお互いに通用する専門性をどう担保するかという仕組み作りが大きな課題になってくるだろう」と述べ、専門学校としていち早く国際的な職業人材の育成に取り組んできた滋慶学園グループだが、現在行なっている数々の国際教育プログラムを職業教育の国際通用性、社会の変化という側面から今一度点検する必要があると訴えました。そして、「国際教育」を建学の理念に掲げる専門学校グループとして、日本の職業教育が将来の世界に向ってどう羽ばたいていくか、国際通用性を担保する国際間協力の枠組み作りを含めて真剣に考えてみる必要性がある、と問題提起しました。

 浮舟総長の基調講演を受けて、このあと、第一部「国際教育プログラムの報告」が行なわれました。各学校グループの代表から海外研修や専門留学、交換留学、海外教育提携校との国際交流事業などの報告が行なわれました。

海外からの留学生 滋慶EASTグループで152.6%増加しました

1日目の全体会議の会場1日目の全体会議の会場

 留学生の昨年度の受け入れ実績では、滋慶EASTグループが一昨年に比べて152.6%、滋慶COMグループが117.5%、日本語学校の東洋言語学院が106.6%と、いずれも前年から大きく伸び、グループ全体の留学生の新入生は1200人を超えました。
 一方、アメリカ、オーストラリア、ヨーロッパ、アジア・アフリカなどへの海外研修に参加した学生はグループ全体で5616人、前年の107.6%と増えました。WESTグループの大阪滋慶学園からは、海外研修プログラムに参加した学生の約95%が現地実習を中心に「満足」と回答したアンケート調査結果などが報告されました。
 

パラリンピック前年に神戸でISPO(世界義肢装具協会)の世界大会開催も発表

 また滋慶WESTグループからは、日本で唯一義肢装具に関する世界基準の教育機関としてISPO(国際義肢装具協会)からカテゴリー1校に認定されている神戸医療福祉専門学校三田校がこのほど、「カテゴリー1」について、審査レベルが最も高い5年間の認定更新を認められたことが報告されました。

 さらに、パラリンピックの前年の2019年10月7日~10日、三田校に日本支部を置くISPO(International Society for Prosthetics and Orthotics)の世界大会が、国や兵庫県、神戸市の支援で1989年の開催以来30年ぶりに神戸で開催されることが発表されました。世界各地の義肢装具の開発者や研究者、教育者ら約5千人が集まる国際会議で、パラリンピックの盛り上げに一役買うことになります。

世界各地で専門職として働く卒業生の活躍ぶりが紹介されました

オーストラリアで活躍する卒業生を紹介する滋慶EASTグループオーストラリアで活躍する卒業生を紹介する滋慶EASTグループ

 専門職を生かして海外で働く卒業生が続々と増えている状況も報告されました。フランスのアルザス地方にある注目のワイナリーで働く東京バイオテクノロジー専門学校の醸造発酵コースの卒業生やベトナムのホーチミン市で鍼灸院を開業する北海道メディカル・スポーツ専門学校の卒業生、アメリカのニューヨークやイギリス、イタリアなど世界各地で美容師として活躍するベルエポック美容専門学校の卒業生や、日本に留学して母国の中国上海などで働く東京ベルエポック美容専門学校美容師科や東京ベルエポック製菓調理専門学校パティシエ科、新東京歯科技工士学校の卒業生らの活躍ぶりが紹介されました。
 文化・芸術系では、ロサンゼルスのシルク・ドュ・ソレイユで活躍する東京ダンス&アクターズ専門学校の卒業生や、同じくロスのタレント事務所に所属して世界的大ヒットのミュージックビデオにダンサーとして登場する福岡スクールオブミュージック専門学校の卒業生、ロンドンで3Dアニメーターとして活躍する大阪コミュニケーションアート専門学校の卒業生、イタリアのレストランでプリモセクションを担当する大阪キャリナリー製菓調理専門学校の卒業生らが紹介されました。

5つの滋慶海外センターから報告

ロサンゼルスでの研修を紹介する滋慶アメリカンセンターロサンゼルスでの研修を紹介する滋慶アメリカンセンター

 二部の「海外からの報告」では、滋慶上海センターや滋慶ソウルセンター、滋慶オーストラリアセンター、滋慶ヨーロッパセンター、滋慶アメリカンセンター(LA)、滋慶アメリカンセンター(ウエストフロリダ大学)と本部国際センターから、現地海外提携校での受け入れプログラムや今後の課題などについての報告が行なわれました。テロが各地で頻発しているヨーロッパセンターからは、ICIFなどイタリアでの食分野の研修や医療・福祉系の北欧への研修は受け入れているが、パリ・ロンドンの美容分野の研修はテロを警戒してアメリカへ振り替えていることが報告され、不安定な政情を抱える地域での海外研修の難しさが浮き彫りとなりました。

第三部は危機対応シミュレーション 安心・安全な海外研修をめざして活発に討議

 第三部は「国際交流活動における危機発生時の対応」をテーマに、ドイツ・フランクフルトへの研修中に3名の学生が交通事故に巻き込まれたとの想定で、対応シミュレーションが行なわれました。旅行代理店の担当者らも参加し、浮舟総長が対策本部長となって、現地の引率教員や添乗員への連絡や指示、学生の家族や外務省、在外公館などへの連絡など、それぞれ役割を決めて、想定される対応をシミュレーション。「一人ひとりを大切に」をモットーとして掲げる滋慶学園グループとして、いかに学生の身になって、スピード感のある的確な判断を出し対応できるかを全員で討議し、学び合いました。また、滋慶学園グループの本部国際センターが中心になって策定した「国際交流活動に伴う危機管理マニュアル」の説明や、トラブルや事故に巻き込まれないための「海外での習慣・法制の違い」などの解説が行なわれました。

  • 本部国際センターの渡辺エグゼクティブディレクター

    本部国際センターの渡辺エグゼクティブディレクター

  • 安心・安全な研修への取り組みを紹介する滋慶COMグループ

    安心・安全な研修への取り組みを紹介する滋慶COMグループ

  • 現地での注意事項を説明する滋慶ヨーロッパセンター

    現地での注意事項を説明する滋慶ヨーロッパセンター

 会議2日目は、「日本語教育部会」や海外の職業教育についての研究会などが開かれて、昼過ぎに散会しました。

 国際関係部門のメンバーが年に一度集まるミーティングらしく、会議外での交流も盛んに行なわれました。茶道の先生とお弟子さんによる抹茶の接待や、琵琶湖畔でバーベキューに舌鼓を打ちながらの交歓会、さらに神戸市にあるジャズの甲陽音楽学院の卒業生や同学院から提携校のバークリー音楽大学に進み、同大学を卒業した若手ミュージシャンによるジャズライブを楽しんだり、交流を深めました。

  • 日本の文化、お点前を体験

    日本の文化、お点前を体験

  • 卒業生の若手ミュージシャンよるライブを楽しむ

    卒業生の若手ミュージシャンらが素晴しいライブ演奏