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「一日も早くゲームの会社を立ち上げたい」学生たちが熱い夢を語るWE ARE OCA 2016
大阪コミュニケーションアート専門学校(OCA)の学生たちが取り組んできたクリエイティブ作品を一堂に集めた第27回卒業・進級制作展「WE ARE OCA 2016」が2月5日(金)、6日(土)、大阪・大手前の大阪マーチャンダイズ・マートビルで開催されました。
デザイン、プロダクト・インテリア、ゲーム、マンガ、CG・アニメ、IT・エンジニアの6分野22専攻コースの3年制で学ぶ学生たちが、産学連携による企業課題に挑戦した作品が展示され、業界の未来を担う“才能”を発掘しようと、大勢の企業関係者や制作会社や企画会社、プロダクションの企画開発部門や人事担当者らが見学に訪れました。
初日のメイン会場では、大阪城天守閣400周年企画作品やJESC(滋慶教育科学研究所)奨励賞ノミネート作品のプレゼンテーションをはじめ、キヤノンマーケティングジャパンの企業課題、ミラーレスカメラ「EOS M10」広告企画作品のプレゼンテーションや、LINE広告事業部 チーフプロデューサー、谷口マサト氏による特別講演などが行なわれました。
プレゼンテーションでは、学生たちは壇上に上り、自分の作品のコンセプトや特色、作品に込めた情熱などについて、パワーポイントを駆使し、動画作品を見せたり、実物大のポスターや社内吊り広告を展示するなど、最前列に居並ぶ審査員の先生方や観客にアピールしました。
2日目には、株式会社デジタル・フロンティアへの企業提案、ロトスコープアニメーション作品および実写合成画像のプレゼンテーション、ワコム主催の人気イラストレーター、有田満弘氏による特別講演などが行なわれ、会場を沸かせました。
また、会場の別室では、「マンガ出張編集部」が開催され、大勢のマンガ学科の学生が自分の作品を全国の出版社の編集者に見てもらって、批評を受けていました。
TSUTAYAやコカ・コーラ、キヤノンなどの企業課題に挑戦
OCAは、毎年多くの企業から課題を頂いて、学生が作品を制作する産学協同教育「企業プロジェクト」を展開しています。この作品作りを手がけることによって、クライアントの意向や消費者ニーズに応えた「売れるデザイン」を作ることができる人材の育成にあたっています。
今年も、TSUTAYAやコカ・コーラウエスト、モスフードサービス、オーストラリアクィーンズランド州政府、よしもとクリエイティブ・エージェンシーなど、計21の企業から課題を頂き、制作に挑んだ作品群が会場に所狭しと展示されました。
留学生の目線で広告作品やパッケージデザインを作成
会場に展示された作品の前では、制作にあたった学生たちが、見学者に説明をおこなっていました。キヤノンのミラーレスカメラ「EOSM10」の優秀広告作品が展示されたコーナーでは、車内吊り広告3部作の前で台湾・嘉義市からの留学生でグラフィックデザイン専攻2年の胡乃分(コ・ナイフン)さんが、「台湾の旅行者に日本のカメラの素晴らしさを訴える作品にしました」と、にこやかに微笑みながら説明していました。
胡さんは、台湾の大学を卒業後、印刷会社のデザイン部門で2年間働いた後、日本でもっとデザインの勉強をしたいと、OCAに入学。別のコーナーにも審査員特別賞を受賞したヤクルトフーズの“ケールの青汁”の愛らしいパッケージデザインが展示され、そのコンセプトについて誇らしげに語りながら、胡さんは「将来は日本の企業で働きたいと思っています」と話してくれました。
すぐ隣のコーナーでは、同じ留学生仲間の韓国からやってきたグラフィックデザイン専攻2年、パク・ジンヨンさんと台湾・高雄から留学してきたという同1年の郭亞儒さんがモスバーガーのカードデザイン作品を見せてくれました。
韓国で出版社に勤務し、マンガ編集の仕事をしたあと、デザインを学び直したいと、OCAに入学したというパクさんは、トマトと肉と野菜のハンバーガー具材をコラージュした作品を見せながら、「外食が増える20歳前後の若い女性をターゲットに考えた作品です」と、可愛いイメージの作品を丁寧に説明してくれました。郭さんも青い空をイメージした作品「Day dream」を紹介しながら、「空を見上げると、欲しいものが雲のように湧いてくるところをイメージしました」と話してくれました。郭さんは、卒業したら台湾に帰り、グラフィックデザイン関係の会社に就職するつもりだと、力強く語ってくれました。
コカ・コーラウエストからの企業課題として自販機のラッピングに取組んだ大胆な作品を説明していたのが、同1年の森田倫香さん。大阪の高校でマンガ研究部に所属していましたが、オープンキャンパスでデザイナーの仕事を知り、「面白そうだな、やってみたいなあ」とOCAに進学。大阪スクールオブミュージック専門学校など姉妹校が取り組む骨髄移植のキャンペーンミュージカル「明日への扉」を観て感動、なんとか協力できればと、コカ・コーラ自販機のラッピング広告企画のテーマに取り上げました。木目調をバックに踊る出演者を配置し、キャンペーンへの協力を呼びかけるデザインを紹介しながら「よく見ていただくと、ジクソーパズルになっているんですよ」と森田さん。よく見ると、その作品には、一つのピースが欠けており、「足りないピースを埋められるのは、あなただけです。知ってくださいあなたの力で助かる命があることを」と、訴えていました。
1年生チームが解散の危機を乗り越えて対戦型ゲームを完成
また、コンピューターゲーム作品が並ぶコーナーでは、2、3年生の完成度の高い作品群とともに、ゲームプログラマー専攻1年の山田健太さんやブラジル国籍を持つドナシメント・ヘナン・フェリペさん、柴田涼伽さんらチーム4人で作成した敵と味方が攻撃し合い得点を競うゲーム「なんでや!!」を展示していました。
昨年までは滋賀県の農業高校で農作業に汗を流していたという山田さんは、「農作業のかたわら、ゲームに夢中になっていましたが、どうせなら、こんなゲームを作れたらどんなに素晴らしいんやろ」と、思い切ってOCAに飛び込んだそうです。
「ボクはプログラミング言語を勉強中で、この作品ではもっぱら音楽や音を拾ってくる役割でした」とうれしそうに話してくれました。
リーダー格として、もっぱらプログラムを書いたのはドナシメントさん。プランナーをめざす柴田さんとは愛知県の豊橋西高校時代からゲームの作成に挑戦していたという仲間で、二人は高校時代から、将来はゲームを開発して会社を作りたいという強い決心を持って一緒にOCAにやってきたそうです。
作品は、昨年の夏過ぎからチームで話し合いながら取り組んできましたが、敵と味方の座標がかぶると弾が発射される仕掛けが組み込まれており、1年生とは思えない出来栄え。それでも「仕様をめぐって意見が対立して、途中2度ほどチーム解散の危機がありました」と、ドナシメントさんは仲間の顔を見ながら笑ってくれました。危機を乗り越えて作品を完成させたことで、ドナシメントさんは「一日も早く会社を立ち上げ、最先端の技術で作品を作りたいと思っています」と、自信を漲らせていました。