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滋慶学園グループ製菓分野8校で競う「第5回 Coupe “JIKEI” de la Pâtsserie 2014」開催。 札幌ベルエポック製菓調理専門学校が優勝!

審査員の先生方とともに優勝した札幌ベル製菓の中島さん、柴田さんと準優勝のキャリナリー大阪の坂口さん、坂本さんをはじめ参加選手全員が記念撮影

 滋慶学園グループの製菓系学科を持つ8校の代表学生がその腕を競う、年に1度のコンクール「第5回 Coupe “JIKEI” de la Pâtsserie 2014(クープ・ジケイ ドゥ ラ パティスリー)」が、11月1日(金)、2日(土)の2日間、東京ベルエポック製菓調理専門学校で開催されました。

 競技は「伝統」をテーマに、指定素材のキャラメルを使用し、ピエスモンテ(アメ細工)とアントルメ(ホールケーキ)の2作品を、4時間×2日=8時間の制限時間内で仕上げるというもの。各校の教員をはじめ、遠くは仙台から訪れた保護者の方々が見守った熱戦の結果は、柴田凪紗さんと中島有未さんの札幌ベルエポック製菓調理専門学校が、昨年に引き続き2度目の優勝を果たしました。

 準優勝とプレゼンテーション賞には、第1回から3年連続優勝のキャリナリー製菓調理大阪校、審査員特別賞を仙台コミュニケーションアート専門学校が獲得。また、クープ・ジケイ賞には神戸製菓専門学校が選ばれ、斬新な構図が評価された福岡キャリナリー製菓調理専門学校がピエスモンテ賞、審査員全員の舌をうならせた東京ベルエポック製菓調理専門学校がアントルメ賞を受賞しました。

 埼玉ベルエポック製菓調理専門学校、名古屋コミュニケーションアート専門学校は惜しくも賞を逃しましたが、各校での予選を突破した代表8チーム16名の真剣な戦いは、今年はインターネットで配信により全国中継され、姉妹校をはじめ2,300ものアクセスがあり、このコンテストの注目度の高さが伺えました。

開会式で挨拶をする斎藤真知子常務理事開会式で挨拶をする斎藤真知子常務理事

 競技は、1日目に仕込みと計量を4時間で行い、2日目となる2日(土)は、クープ・デュ・モンド(ワールドカップ)国際審査委員や日本チーム団長を歴任された柳正司氏、クープ・デュ・モンド個人部門第1位をはじめとする数々の受賞歴を誇る及川太平氏、「ワールドペストリーチーム・チャンピオンシップ」準優勝、同大会「ショコラ・ビエス」部門優勝の経歴を持つ和泉光一氏の、日本を代表する3名のパティシエを審査員に迎え、各校学校長や来賓、保護者などが参加して開会式からスタートしました。

 この大会を主管する滋慶学園食文化教育部会部会長・斎藤真知子常務理事が「技術だけでなく、この大会に向けて人間的な魅力、人間的な力も成長していると感じています。今日は日本を代表する先生方に評価いただける機会ですので、その力を全て発揮してください」と参加学生にエールを送り、後半4時間の戦いの火蓋が切って落とされました。

4時間に渡る「審査」と「仕上げ」の熱戦

 午前9時40分、体操で体をほぐした選手たちは、製菓実習室の8つの調理台について競技がスタート。廊下では、選手よりも緊張した各校の講師や職員、そして駆けつけた保護者らがガラス越しに選手たちを見守っています。

 3名の審査員の先生方は各調理台をまわり、ときに質問やアドバイスを交えて各校の創作状況を4時間に渡り審査します。「技術」、「味」、「完成度」はもちろん、「作業性」、「チームワーク力」も審査されるため、一瞬たりとも気を抜けない真剣勝負が繰り広げられました。

 熱したアメを引き延ばしてカットし、また何度も熱しながら丁寧に装飾をしていくピエスモンテ。その傍らでチョコレートやキャラメルを鍋で溶かして丁寧にアントルメを仕上げていく…。残り15分、10分と終了時間が迫るなか、すでに作品を完成させて丁寧に片付けをするチームや、まだまだ完成形が見えずにアメの装飾を続けるチームなど状況は様々。会場全体、また観覧者にも緊張が走ります。残り時間5分を切ると、次々とピエスモンテにカバーがかけられて美しい作品群が調理台に並び、競技が終了しました。息を止めるように緊張しながらカバーをかけ終わると、どの選手も「はぁー」と安堵のため息をつく姿が印象的でした。

しかし、作品の完成で競技が終了するわけではありません。3名の審査員と各校学校長を前にした作品のプレゼンテーションが最後の関門が待っています。

 審査員と滋慶学園グループの浮舟邦彦総長や各校学校長がズラリと並ぶその前で、緊張しながらも各チームが作品のコンセプト、特徴、アピールポイントを発表しました。その間に審査員はアントルメを試食し、味の審査も行います。選手たちは「美味しい」という評価に笑顔になったり、「チョコレートの仕上げをもっと丁寧に」という指摘を緊張の面持ちで受け止めたり。業界を代表する審査員に直接作品を評価をいただけるこのコンクールは、良い評価は自信となり、また今後の課題が明確になることでパティシエとしてさらに成長するためのすばらしい機会となりました。

  • 真剣な表情でアメ細工を作る選手

    真剣な表情でアメ細工を作る選手

  • プレゼンテーションするキャリナリー大阪校の2選手

    プレゼンテーションするキャリナリー大阪校の2選手

  • 最終審査

    最終審査

柳審査委員長「目標を持ったら諦めず、自分のペースで続けることが大切」

埼玉ベルエポック製菓調理専門学校 三小田眞彬学校長から表彰を受ける「プレゼンテーション賞」のキャリナリー製菓調理 大阪校の坂本さんと坂口さん
埼玉ベルエポック製菓調理専門学校 三小田眞彬学校長から表彰を受ける「プレゼンテーション賞」のキャリナリー製菓調理 大阪校の坂本さんと坂口さん
第1回目からの優勝チームに贈られる優勝カップを手にして、うれし涙を流す札幌ベル製菓の2選手
第1回目からの優勝チームに贈られる優勝カップを手にして、うれし涙を流す札幌ベル製菓の2選手

 16時30分から予定されていた表彰式・閉会式は、作品の得点が拮抗しており、審査員の結論が出るまでに10分、また10分と延長され、選手たちの緊張がいっそう高まるなか、いよいよ審査結果が発表となりました。「優勝」は札幌ベルエポック製菓調理専門学校、昨年に続いての連覇となりました。

 学校名がコールされると会場には大歓声と拍手が起こり、選手二人は喜びの涙を流していました。また、僅差で「準優勝」となったキャリナリー製菓調理 大阪校は、プレゼンテーション賞とのダブル受賞となりました。審査委員特別賞を受賞した仙台コミュニケーションアート専門学校は、初の入賞。仙台から駆けつけた保護者や山川敏彦学校長らとともに、学校関係者全員で喜びを分かち合う姿が印象的でした。

 審査員の講評で審査員の和泉氏は「今年は審査をしたなかで上位の4校はものすごい僅差でした。基本的なレベルが上がっていますし、上位校はアメ細工のツヤもしっかり出していますし、プロでもなかなか行き着かない領域まで来ていると思います。明暗を分けたのは基礎的なところを押さえているかどうかです。見かけだけに気をとられがちなお菓子屋さんの仕事ですが、基礎的なところに根源が眠っているので、それをないがしろにして見かけだけの派手さを追求してしまうと大事なことをとりこぼしてしまうことがあると僕の方が勉強させられた大会でした」と、選手たちのお菓子作りに対する姿勢を評価いただきました。

 及川氏は「アメ細工はプロでもなかなかできない素晴らしい技術でした。でも、君たちは来春就職して僕らの世界に入って来ても、明日からアメはひけません。下積みをして先輩の世話をして、一生懸命接客をして、厨房に入って少しずつ力をつけて、そういう場を作っていくのが今からの君たちの頑張りどころです。

 お菓子はそんなに派手な世界ではありません。なぜ、僕らはお菓子を作るのか。自分のお菓子を表現して、それをお客さんに食べていただいて喜ばしいと思う、それが僕らの仕事です。それをしっかりしていないと、賞を獲っても1週間で辞めました、半年で辞めましたという人が多いです。そういう意識を担当の先生方はこれから短い学校の授業で、しっかりと教えてあげてください。絞りが下手だったら練習しなければならない。ナッペができなければ、練習しなければならい。練習しなければプロの世界では戦いに出られません。それを理解して明日から一生懸命頑張ってください」と激励しました。

 審査委員長の柳氏は「いま、こんなに素晴らしい作品を作って楽しそうだなという仕事はたまにはありますが、毎日の作業は同じ作業を繰り返しながら、同じクオリティで毎日続けて作らなくてはいけない地味な仕事です。
 でも、今回のようにコンクールにチャレンジするのであれば、自分の考えを入れて常に新しい、オリジナルの作品を作っていくことにチャレンジしないと面白さがない。若い人にはチャレンジをしてほしい。今回、苦労したことには発見があります。それが一番の財産です。やってみたら思ったより難しかった。やってみたら意外に簡単だった。やっているうちに今までできなかったことが自然とできるようになった。それが職人の力になっていきます。
 目指した道をあきらめなければ、叶えることができます。コンクールでもそうです。目標を持ったら、あきらめないでやり続ける。自分のペースで、自分ができること、自分が決めたことをしっかりやって、それを達成する習慣性をつける、それが大事です。この業界を目指したのであればそれを続けて、やり遂げてほしいと思います」とエールを送りました。

  • 柳正司氏

    柳正司氏

  • 及川太平氏

    及川太平氏

  • 和泉光一氏

    和泉光一氏

審査員紹介

講評を述べる浮舟総長講評を述べる浮舟総長

 最後に滋慶学園グループ浮舟邦彦総長が「皆さんは夏休みも随分と練習をされたと聞いています。4時間+4時間のタイムトライアルが最初は6時間+6時間かかったが、それを繰り返すうちに時間内にできるようになった。

 プロの関門は時間との戦いがあり、このコンテストが与えた試練も多かったけれども、全出場者の皆さんが壁をひとつ越えたと言えます。そして、このコンテストでは、日本を代表するパティシエの先生方が真剣に対峙してくださるということが何と素晴らしいことか。先生方のコメントをお聞きしたり、質問をされるときに、このコンテストの良さはここにあるんだと思います。先生もおっしゃっていましたが、ここが皆さんの終着駅ではないということです。

 明日からは、厳しい現実と対峙していく、その基本をしっかりと学ぶんだという思いを持って頂きたいと思います。勤めたら短くても3年間、その現場でその現場の良さを見聞きし、シェフとしての基本をしっかりと身につけてください。また、基本を身につけるには時間がかかります。地道に努力をしていくことの大切さもこのコンテストで学んでいただけたのではないかと思います。今日、出場できたことを誇りと励みにして、これから素晴らしいシェフになられることを祈念します」と締めくくりました。

「第5回 Coupe “JIKEI” de la Patsserie 2014」審査結果

【優勝】
「継承」 札幌ベルエポック製菓調理専門学校
パティシエ科2年 柴田凪紗さん
パティシエ科2年 中島有未さん

柴田さんのコメント
「選ばれないと思ったので本当に良かったです。中途半端なものを出さないように二人で練習して来たので、自分の納得にいくものが作れたことが良かったと思います」

中島さんのコメント
「(優勝できたのは)チームワークがよかったからだと思います。先生方や家族や友達に感謝して、この気持ちを忘れないようにやっていきたいです」
継承

【準優勝】【プレゼンテーション賞】
「至福のひととき」 キャリナリー製菓調理 大阪校
洋菓子本科2年 坂本美菜子さん
製菓・調理本科2年 坂口美代子さん
至福のひととき

【アントルメ賞】
「華・粋・美」 東京ベルエポック製菓調理専門学校
パティシエ科2年 木下采都己さん
パティシエ科2年 藤沼めぐみさん

華・粋・美

【ピエスモンテ賞】
「Le Tour」
福岡キャリナリー製菓調理専門学校
製菓製パン科パティシエコース2年 光永大輝さん
製菓製パン科パティシエコース2年 藏田沙耶香さん

藏田さんのコメント
「本当に嬉しいです。頑張って来たので良かったです。でも、優勝を獲りたかったです」

Le Tour

【審査員特別賞】
「MATSURI」 仙台コミュニケーションアート専門学校
カフェ・パティシエ科2年 髙山遥さん
カフェ・パティシエ科2年 小野友里花さん

小野さんと髙山さんのコメント
「優勝は逃したんですけど、審査員特別賞という素晴らしい賞をもらえて本当に嬉しいです。SCAには製菓の専任の先生がいないため、講師の先生や遠くからいらしていただいたシェフの先生にご指導いただいたので、本当に感謝しています」

MATSURI

【クープ・ジケイ特別賞】
「Le Tour De France」 神戸製菓専門学校
製菓本科2年 松村優衣さん
製菓本科2年 宮崎幸奈さん

Le Tour De France