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滋慶医療科学大学 第1期生の卒業式が行われました 最先端の医療機器のスペシャリストとして期待
新時代の医工連携やグローバルな医療の発展への貢献が期待される、滋慶医療科学大学の第1期生の学位記授与式が3月8日(土)、大阪市淀川区の同大学で執り行われました。2021年4月に開学した同大学として初めての式典。卒業した17人はこれから臨床工学技士、医療機器のスペシャリスト、最先端の装置を操作するエンジニアとして病院などで活躍します。
同大学は学校法人 大阪滋慶学園が運営しています。医療の「質と安全」の専門家を育成する医療安全管理学の大学院修士課程として、2011年に開学した滋慶医療科学大学院大学(現・同大学大学院)が源流。2021年に滋慶医療科学大学 医療科学部臨床工学科を設置し、第1期生を迎えました。コロナ禍に入学した1期生は、最初はオンラインを中心に苦労しながら学び、その後の対面授業や現場実習、国家試験を経てこの春、医療現場に入っていきました。

『和して同ぜず』協調性の真の意味とは… 千原國宏学長
千原学長は告示で学び続けることの大切さについて述べ、「テクノロジーはツールであり、使い方も方向性も人間に委ねられていることを忘れてはなりません。未来を形づくるのはAIのようなテクノロジーではなく、私たちのビジョンであり倫理観。論理的かつ責任ある使い方を心がけ、テクノロジーのポジティブな可能性を最大限に引き出し、社会の発展に寄与する方法を探究し続けなければなりません」と強調しました。
そのうえで、千原学長は3つの孔子の名言を紹介しました。1つ目は『時に学びて之を習う』で、「学んだことを時に応じて反復し、理解を深め実践するということです。実践するために学ぶということを忘れないでください」と説きました。2つ目の『学べば則ち固ならず』について「自分の考えだけに凝り固まらないようにする、視野を広げる。それが学問効用です」とし、「学び続けることが自分の頑なさを和らげ柔軟にする」と諭しました。
3つ目の『和して同ぜず』(人と協調しても決してむやみに同調しない)を説明しながら、学長はラグビーの元日本代表監督、平尾誠二氏(故人)の『スポーツに自己犠牲などはありえない』という言葉にも言及。「チームのために自分ができることを考えた結果、本当にやりたいこととは違うことをすべき時もある。しかし、それは自己犠牲ではなく、チームのために自分を最大限に活かしているということに気が付いてください」と解説しました。
そして「自分が為すべき仕事を理解して実践することが、チーム医療の基本になります。協調性の真の意味を理解し、臨床工学技士としてのビジョンと倫理観を養い続けることの意義に気付いてください。本学の第1期生であるという自覚をもって、医療機関や医療機器の企業で貴重な戦力となるよう、一心に学び続けることを希望しています」と締めくくりました。
この後、卒業生1人ひとりに学長から学位記が授与されました。


「人間関係は将来の大きな財産」 浮舟邦彦理事長
大学の運営母体である大阪滋慶学園の浮舟邦彦理事長(滋慶学園グループ総長)はビデオで祝辞を贈りました。4年間の大学生活を通してプロとしての技術と知識、社会人としての人間力を身に付けてきたことに言及し、「それは決して簡単ではなかったと思います。技術や知識の壁、コミュケーションの難しさなどの悩みもあったでしょう。友人や先生のアドバイス、家族のサポートで背中を押され、それらを乗りこえ、今日を迎えられました」と称えました。
スペシャリストとしての基礎をべ―スにキャリアを開発、キャリアアップし、成長していくことの大切さを強調。そして「プロとして成長するための原則があります。プロは仕事を通して成長するということです。明日からの仕事、職場を大切にしてください。職場が皆さんの新しい道場です。皆さんはこれから難しい経験、楽しい経験など色んな経験をするでしょう。その経験が皆さんのキャリアになります。仕事を大切にしてください。学ぶ姿勢、学ぶ情熱を持ってください」と語りました。
さらに人とのネットワーク、仕事での人間関係は「将来の大きな財産になる」として、如何にコミュニケーションが大切であるかを説き、「学内に掲示されていた【今日も笑顔であいさつを】の標語を、どうか自分自身で持って卒業していただきたい。皆さんの職場にも持っていってほしいと思います」と求めました。
終わりに「困った時には(大学を)訪ねてください。また嬉しい時も報告に来てください。滋慶学園グループのネットワークは北海道から九州まであります。そのネットワークを活用してください。私たちは誇りを持って皆さんの成長を見守ります」と激励しました。


「未来の医療を支える人材に」 大阪医療センター 松村泰志院長
来賓の国立病院機構 大阪医療センターの松村泰志院長は祝辞の中で、外科治療において先端技術が内視鏡手術からロボット手術になってきたことや、カテーテルで心臓の弁を人工弁に置き換える手術が行われていることなど、最新の医療技術について言及しました。
「医療技術は猛烈なスピードで進歩しています。しかし、高度な医療機器も安全にオペレーションをするためには技術者は必須です。使われている技術が高度で複雑になればなるほど、技術者に頼るところが大きくなります。10年後にはどのような技術が導入されているのでしょうか…。恐らく素晴らしい機能を備えたものでしょうけれど、より高度で複雑なものになることは想像に難くありません。それだけに優秀な技術者が必須なんです」
工学を本格的に学んできた人材は医療現場には少なく、松村院長は卒業生に対しいかに期待が大きいかを繰り返し説明しました。「未来の医療機器は現在の機器を知っているだけでは対応できません。工学の基礎的な知識をベースに新しい技術を習得する必要があります。基礎的なことを学んで来られたのは、未来の医療機器に対応するためです」と述べました。
そして、「ぜひ未来の医療を支える人材になっていただきたい。未来の医療が発展するか否かは皆さんの力にかかっています。皆さんはパイオニアです。改革精神をもって自力で新しい知識を積みあげていってください」と大きな期待感を寄せました。


この後、多数の祝電披露や卒業生の謝辞がありました。最後に活躍した学生への表彰が行われ、来賓として出席した大阪府臨床工学技士学会の小北克也会長は学業や学外活動のボランティアに貢献した学生を称える会長奨励賞を贈りました。




式典終了後は近くのホテルで謝恩会が開かれ、お世話になった恩師や学友たちと親交を深めあっていました。
(Web広報センター)