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「ビールの泡持ち安定性の向上」研究論文が日本醸造協会誌に掲載されました!! 東京バイオ、藤野舜一先生らのグループ
東京バイオテクノロジー専門学校(東京都大田区)お酒醸造・発酵食品コースの講師、藤野舜一先生らのグループが公益財団法人 日本醸造協会・日本醸造学会が発行する日本醸造協会誌(第118巻 第8号 令和5年8月15日発行)に『麦芽リパーゼ活性阻害によるビール泡持ち安定性の向上』と題する研究論文を発表しました。
本校からの同誌への論文発表は3報目であり、1報目:「出羽三山植物体からのアルコール発酵能を有する野生酵母の単離」(2016年)、2報目:「ハナバチから分離した酵母の性質と清酒醸造への利用」(2023年7月号)に続くものです。
今回の論文は、5年間に亘り延べ21名の学生とともに取り組んだ“ビールの泡持ち時間を向上させる研究結果”を担当講師陣がまとめたものです。
ビール特有の白い泡は炭酸ガスの気泡を、ビール中に溶けている微量のタンパク質と苦味成分であるイソフムロンで包み込んだもので、ビールの大きな品質特徴となります。この泡の存在でビールが有する爽快感を演出し、またガス抜けを予防して美味しさを維持することができます。このことから、ビールの泡持ち時間の向上は、ビールの品質向上に寄与します。
茶カテキンがビールの泡持ち向上に効果あり! 阻害物質の脂肪酸などを低減
研究グループは、ビール原料(麦芽、ホップ、酵母)を使用して、仕込・発酵・貯蔵を経て瓶詰までを行い、得られた瓶詰ビールを、自製の泡持ち測定装置を使用して泡持ち時間を測定しました。
ビールの泡持ちは含まれる油脂や脂肪酸、およびその関連成分によって阻害されることが知られており、研究グループでは麦芽脂質のリパーゼ(酵素)による分解に着目。仕込の工程で事前に各種食品素材を添加して、それぞれ麦芽リパーゼ活性に対する抑制効果を調べたところ、茶カテキンに効果があることを発見しました。
麦芽リパーゼ活性を抑止することにより、ビール中の遊離脂肪酸、およびその関連成分が減少し、泡持ち向上につながったのです。なお、瓶詰ビールや発酵過程の中間製品の脂肪酸分析はガスクロマトグラムー質量分析計を使用して実施しました。
このビール醸造に茶カテキンを添加する製法は新技術でしたので、2022年度に特許申請を行い、認められています。
研究論文『麦芽リパーゼ活性阻害によるビール泡持ち安定性の向上』.pdf
(東京バイオテクノロジー専門学校 キャリアセンター・産学連携推進センター 杉田 佑輔)