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震災から3年目の門出、仙台地区2校で卒業式。 それぞれの道で復興を担う。

仙台医健 田﨑学校長から卒業証書を授与される理学療法科 駒場麻衣さん

仙台コミュニケーションアート専門学校、仙台医健専門学校の卒業式が、2014年3月18日(火)にホテルメトロポリタン仙台で行われ、447名が社会へ船出しました。卒業生のうち、3年制の仙台コミュニケーションアート専門学校のクリエーティブコミュニケーション科、仙台医健専門学校の柔道整復科と視能訓練科の学生は、東日本大震災直後の不安と混乱のなかで将来への強い意志を持って入学した学生たちです。来賓をはじめ、晴れ姿を見ようと多くの保護者、講師らが列席、式典は晴れやかさのなかに凛と澄み渡る空気のような卒業生の意志が感じられ、東北地区の美しさと強さに溢れていました。

「専門分野を通して東北の復興を!」浮舟総長祝辞

各校代表者に卒業証書と専門士、高度専門士の称号が仙台コミュニケーションアート 山川敏彦学校長、仙台医健 田崎京二学校長から授与されたあと、学校長を代表して田﨑学校長が「学校で築いた、友人、先生、業界の方々との絆をこれからも大切にしてください。みなさんのこれからの活躍を期待しています」と式辞を述べました。続いて、滋慶学園グループ浮舟邦彦総長が「卒業は終わりではありません。明日からが真のプロを目指してのスタートです。それぞれの職場でキャリアを開発し、キャリアアップしていかなくてはなりません。自分の仕事に誇りとアイデンティティ、誠実に仕事に取り組む姿勢を持ってください。そして、学び続けることの大切さ。また、人間関係、ネットワークの大切さが、皆さんが真のプロとして成長を支える原点になるはずです。特に東北地方の復興に向けて、皆さんお一人お一人が学ばれたことを通して尽くしてください。皆さんの健闘を祈念します」と激励の言葉を贈りました。

  • 式辞を述べる田﨑学校長

    式辞を述べる田﨑学校長

  • 卒業証書を授与する山川学校長

    卒業証書を授与する山川学校長

  • 浮舟総長が卒業生に祝辞を贈った

    浮舟総長が卒業生に祝辞を贈った

産学協同作品がJESC各賞を受賞。奨励賞作品は商品化を果たす

表彰を受けるSCA調理師科の伊藤さん表彰を受けるSCA調理師科の伊藤さん
滋慶文化学園覚野博夫理事長から表彰を受ける仙台医健柔道整復科の伊藤さん滋慶文化学園覚野博夫理事長から表彰を受ける仙台医健 柔道整復科の伊藤さん

式典のなかで皆勤賞15名、精勤賞117名はじめ、卒業制作展の出展作品から将来が期待される制作や研究に、本学園の教育研究機関である滋慶教育科学研究所(JESC)から各賞が贈られました。JESC奨励賞は「ホテルレオパレス仙台  イタリアンディナーメニュー制作プロジェクト」で、仙台コミュニケーションアート専門学校調理師科の伊藤優希さんが受賞しました。伊藤さんが制作したメニューは1月に同レストランで採用され、昨年同月比の来客数が30%もアップしました。
また、学生が取り組んできた企業課題や社会問題等のなかで、特に優れた作品に学校長賞、理事長賞の表彰が行われました。学校長賞は、昼は家業に従事しながら精勤で通学し、理学療法士全国模擬試験で全国1位の成績を収めた仙台医健 理学療法科Ⅱ部の高澤賢二さんら2名が受賞。理事長賞は声優としての活躍が期待されるSCA音楽コミュニケーション科の志和未来さん、社会貢献活動の一環として地域の清掃等ボランティア活動に率先して参加した仙台医健柔道整復科の伊藤麻結さんら3名に贈られました。

「一緒に仕事をすると楽しいと思われる人になってほしい」湯川れい子名誉学校長祝辞

湯川れい子名誉学校長湯川れい子名誉学校長

東京からお祝いにかけつけた湯川れい子名誉学校から、昨年来日したポール・マッカートニーや直前に観たザ・ローリング・ストーンズのコンサートの話を交えて卒業生に祝辞が贈られました。「皆さんからすれば50年後。どうして70歳になって、あんなにつらいワールドツアーをやるの?とポールに聞いてみました。すると『だって楽しいから。毎日新しいことを学べるんだよ』と。感動を人に与えるのは、人に感動を与えようとして生きてきたんじゃないんですね。歌うことが大好きで、毎日何よりそれに夢中で取り組んできたからです。どんな仕事でもそうです。この人の一緒に仕事をすると楽しい。そう思われる人になってほしい。自分の仕事が楽しい人、明日も一緒に仕事をしたいと思われる人、そういう人は必ず幸せになり、その結果周りの人も幸せになり、未来も拓けてくることを記憶して社会に出ていってください。これからの皆さんの人生が素晴らしいものであるように祈念します」。

卒業生謝辞

在校中を思い返して涙で言葉に詰まる山下さん在校中を思い返して涙で言葉に詰まる山下さん

卒業生を代表して、第1期卒業生となる仙台医健 視能訓練科の山下紗季さんが感謝の言葉を述べました。「4月からは東京で視能訓練士としてのスタートを切ります。第1期生として後輩たちに誇れる先輩になれるよう、頑張って参りたいと決意を新たにしています。視能訓練科は新しい学科ということで大変なご苦労があったと思います。私たちにプライドを持ってご指導いただいた講師の先生方、また様々な場面で支えてくださった教職員の皆様に改めてお礼申し上げます。そして今まで私の成長を見守り続けてくれた家族、苦しいことも楽しいことも共有してきた最高の友達にお礼申し上げます。ありがとうございました」。山下さんが泣きながらお礼の言葉を述べ終わると、多くの卒業生や講師もともに涙を流す姿が印象的でした。

式典の最後には、元プリンセス・プリンセスの渡辺敦子副校長ら講師陣の演奏で、ゴスペルアンサンブルが「翼をください」を歌い上げました。
また、式典終了後には保護者会が行われ、キャリアセンターから就職・デビューの報告、滋慶学園グループの生涯にわたる卒後支援について説明がされました。

  • ゴスペルアンサンブルの歌で卒業生を送った

    ゴスペルアンサンブルの歌で卒業生を送った

  • 式典後に行われた保護者会

    式典後に行われた保護者会

東日本大震災の直後に入学した、2名の卒業生に話を聞きました。

「人が笑顔になれる作品、商品を作りたい」

大見さん大見さん

仙台コミュニケーションアート専門学校クリエーティブコミュニケーション科の大見里見さんは、全国グループ校企業プロジェクト「OK Gift Shop × Pearl Frost オーストラリアゆるキャラデザイン」で全国3位、仙台七夕飾りプロジェクトでは作品が商店の七夕飾りとして採用され、その飾りは商店街で金賞に選ばれるなどの成果を上げ、学校長賞を受賞しました。小さい頃から絵を描くことが好きで、コンビニでかわいいパッケージを見てこういう仕事に携わりたいとグラフィックデザイナーの道へ進んだ大見さん。「目標は自分のオリジナル商品を展開していくこと。クライアントや消費者が望むものを的確に、「ありがとう」と言ってもらえるような商品を提供していけたらうれしいです」。また、震災を経験して思うことは「やはり、笑顔が大事だと思います。相手が笑顔になれる作品、商品を提供していけたらと思います。私も落ち込むことなどいろいろありますが、ちょっとしたことで紛らわせてもらうことがあって本当に助かっているんです。だから、私もそういうものを作りたいです」。卒業後は仙台の企業に就職が決定しています。

「患者さんに親身に寄り添える視能訓練士に!」

大學さん大學さん

皆勤賞を受賞した仙台医健専門学校 視能訓練科第1期生として入学した大學みさとさんは仙台出身。入学直前に東日本大震災で被災して家は全壊。「2週間ほど避難所で生活していたので仙台医健に入学できるかと不安でしたし、高校を卒業したばかりで、精神的にも弱ってしまいました。でも、家族が支えてくれました。入学式が遅れた不安もありましたが、学校もその遅れを取り戻すために休み返上で授業をしてくれてすごく助かりました。今では震災があったから、強くなれたという思いがあります。より人を思うところが変わりました。上辺だけなく親身になって、人に寄り添って話を聞くという気持ちを持つようになりました。災害に遭ったとき、何より私が話を聞いてほしかったから。これからは患者さんにその気持ちで接したいです」。3年間で一番成長したと感じることはコミュニケーション力という大學さんは、埼玉県川越市の病院に就職が決定しています。「視能訓練士のなかでも、どんどん上に行ってみたいというチャレンジ精神を常に持っています。震災があったときに眼科の薬がもらえなったと言う話を聞いていたので、地元で仕事に関わりたいという気持ちはありましたが、一度大きい病院で学んでから仙台に戻り、学んできた知識を生かして地元に貢献して行きたいです」と力強く語ってくれました。