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臨床工学技士をめざす留学生の自粛生活 ~コロナ禍で気が付いたこと~ 大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科
2020.08.14
日本語学科の留学生は全員が中国出身。昨年の10月に日本に留学し、学校近くにある寮で生活しています。
今年は新型コロナウイルスのため、春休みも帰国ができず、4月に緊急事態宣言が出てからは、寮と週に1回スーパーを往復する生活をしていました。
親元から離れ、異国で生活しているだけでも大変なのに、そこへコロナウイルス。親御さんも、本人たちもさぞ、心配だろうと思っていたのですが、「母国の中国と比べると、買い物やアルバイトにも行けるから大丈夫です!」と、私たち教員が思っているほど不安を感じていないようでした。
自粛期間中、学生の不安や心配事などを知りたいと考え、日本語の勉強の一環として、日記を毎日書いてもらいました。
日記には食事のことがよく出てきました。学生寮では昼食がないため、最初は「友達とコンビニへ弁当を買いに行って食べた」というような内容が、いつの間にか「友達とスーパーへ買い出しに行って、IH調理器具で料理を作った」になり、ある時「寮で今まで話したことがなかった北京出身の学生と一緒に水餃子を作った。コロナ禍の生活は辛いけれど、いいこともある」と書かれていました。
父から教わりパイナップルチャーハンまで作れた!朝日新聞「声」欄に掲載
父親が元コックだったという学生は「父からビデオ通話で調理法を教わり、手の込んだパイナップルチャーハンまで作れるようになった。自分が台所に立つようになって、父母と3人で食卓を囲んでいた少年時代の幸せな気持ちを思い出すとともに、仕事の合間に帰宅して、料理を作ってくれていた父の大変さにも気づいた」と綴っていました。
この学生のエッセイを朝日新聞の「声」欄に送ったところ、なんと7月2日(木)の朝刊に掲載されたのです! 教員にとっても、学生たちにとっても嬉しいことでした。
ある学生の日記には「緊急事態で外出も危険な中、寮の食堂のおばさんたちは私たちのために朝晩、食事を作りに来てくれた。感謝しています」と、高齢の食堂のおばさんを気遣う気持ちが書かれていました。
「友達と夕方、近くの河川敷で自転車をこいだ。風がとても心地よかった。夕陽がこんなにきれいなものだと今まで気が付かなかった」、「ネットでバリカンを買って、友達と髪を切り合った。今まで一度もしたことがないことにチャレンジするのは面白いと思った」、「コロナ後、私たち留学生はどうすべきかを寮にいる留学生みんなで一緒に話し合った」、「国で看護師をしている母の苦労に気づいた」と書いている学生もいました。
不安で窮屈な生活の中でも、自分たちでできることを見つけ、お互い協力し合い、少しでも生活をよくしようと努力していたことが窺えました。
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中国の父親から教わった
パイナップルチャーハン -
大好物のから揚げ。みんなで食べました
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寮の床屋。仲間にカットしてもらいました
普段は見えていない大切なことに気づいた
学生たちはこの数か月の間に、学校では学べない大切なことに気づいてくれたと思います。それは、親や他の人への感謝の気持ち、人との関わりの大切さや思いやり、友達との協力、新しいことにチャレンジすることの面白さ、自然の恐ろしさ、優しさなどです。
将来は、臨床工学技士を目指している学生たちです。ウイルスに対しても「自粛解除後の自分の行動が一番大切だ。自分で自分を守ることは他の人を守ることになる」、「ウイルスに打ち勝つことは専門家の仕事ではない。私たち一人ひとりが注意しないと、彼らがどんなに努力しても意味がない」と、しっかりとした思いも記されていました。
「新型コロナは確かに悪いことをたくさん持ってきましたが、普段の生活で見えていなかった大切なことに改めて、気づくこともできました。そして、気持ちの持ち方次第で、生活を楽しむことができるということも学びました」
これも学生の言葉です。
「留学の目的を忘れないで」先輩たちが激励
自粛期間中の5月、日本語学科を卒業し、臨床工学技士として日本で働いている先輩が後輩たちを訪ねて来てくれました。「新型コロナで思うようにならないこともあるけれど、留学の目的を忘れないで、みんな頑張ってください」と温かい言葉をかけてくれました。学生たちにとって、現役で働いている同じ中国人の先輩の言葉は何よりも力強い励みになると思います。
私たちも学生たちの成長に負けないよう、安全を第一に考え、これからも、彼らの「日本で臨床工学技士として働く」という夢を応援していきたいと思います。
留学生の皆さん、辛いこともあると思いますが、コロナに負けないで夢に向かって頑張ってください!
(大阪ハイテクノロジー専門学校 日本語学科 山上 直子)