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全国看護学生作文コンクール 大阪医療看護専門学校の学生が読売新聞社賞に輝きました 学校も優秀団体賞を受賞するダブル受賞となりました
コロナ禍の中、看護師をめざす全国の学生たちが想いを綴った「第11回全国看護学生作文コンクール」(全国看護学生作文コンクール実行委員会主催、厚生労働省/日本看護協会/日本看護学校協議会/読売新聞社など後援)で、学校法人大阪滋慶学園の大阪医療看護専門学校(大阪府豊中市)に学ぶ植村智子さんが優秀賞の読売新聞社賞に輝きました。2200人を超える応募者の中から選ばれました。
大阪医療看護専門学校からは他に2名の学生が佳作に入選しており、優秀団体賞も受賞するダブル受賞となりました。
保育士のアルバイトしながら看護の道をめざす努力家
植村さんは京都府内の保育園で4年間、保育士として働いている時に、アレルギー疾患に苦しむ子供やケガの子の手当てにあたる中で、もっと医療の知識や技術があればと思い、保育園を辞めて1年間、精神病棟でアルバイトの看護助手の仕事に就きました。ちょうど保育園への看護師配置が検討されている時でした。
看護助手として働いてみると、国家資格をもつ看護師との間に職務や職責についてあきらかな違いがある現実に直面します。それならば医療の専門職として幅広い仕事が出来る看護師をめざしてみようと、2019年4月、26歳で大阪医療看護専門学校に社会人入学しました。
両親にあまり迷惑をかけたくないと考えた植村さんは、3年間で資格を目指せる専門学校を選び、連日、授業前の早朝と放課後に保育士の資格を生かして近くの保育園でアルバイトをしながら、命を預かる医療職へのハードな授業に取り組んでいる努力家です。
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副賞のトロフィー。
植村さんの名前が刻まれています -
トロフィーをもつ植村さん
オンライン授業で読売新聞社賞の受賞を知らされる
そんな植村さんが読売新聞社賞の受賞の知らせを聞いたのは6月のはじめ。新型コロナウイルスのために登校自粛となり、2年生になりオンライン授業を自宅で受けている時でした。授業が終わったときに、担任の先生から「植村さん、読売新聞社賞を取ったわよ。すごい、おめでとう!」と、画面の向こうから突然大きな声をかけられました。
「えっ、何のこと?」と一瞬、訳が分からなくてキョトンとしていると、画面に並んだクラスメイトも全員で祝福の拍手をしてくれています。そこでようやく3月に宿題として提出した作文がコンクールに入選した、しかもかなり大きな賞らしいと分かり、じゅわーと嬉しさが湧いてきたそうです。
突然のことで驚いたせいか、「一体何をどう書いたのか、はっきりと思い出せず、すぐにコピーを捜し出して読み直した」そうです。家の中にいたお母さんにも「作文コンテストで新聞社の賞がもらえたみたい」と報告。お母さんは、作文に目を通すと、「ええっ、本当なの? うまく書いているじゃない。新聞に載るなら買わなくちゃね」と、大喜びしてくれました。
「非常に作文能力が高かった」と主催者からお褒めの言葉
作文には1年生の時、初めて実習に参加し、その振り返りで考えたことを「看護学生の時にできること」というタイトルで書きました。実習で自分は患者さんときちんと向き合えたのだろうかと自問したとき、看護助手をしていた時に、夜中に眠れなくて悶々としている患者さんにきちんと向き合えたときのことを思い出したのです。
夜中そっと布団をかけてあげて「ありがとうね」と感謝され、ようやく気持ちが通じたと感じると同時に、それまで、ふとんをかけるまでの心の余裕がなかったことを反省します。
そこで患者さんときちんと向き合うことによって安心感が生み出され、その患者さんはその日は薬がなくても眠ることが出来たのではないかと思い至ります。そして眠れない原因をなくすことは自分には出来ないが、軽減できるようにするという視点で考えるようになります。そうした看護師をめざす自分の行動と反省を冷静に分析しながら素直な文章で表現していきます。
最後に植村さんは、患者さんに感謝されたことを大切に思い、1対1で向き合える実習では「患者の内面までしっかりと感じ取り、そこに寄り添うことができると考えている。患者の身体の理解や援助と共にメンタルのことも考え、あたたかさの感じられるケアを意識的に出来るように自分の技術を磨いていきたい」と決意を込めて、文を閉じます。
作文コンクールの実行委員会からは「非常に文章能力が高かった」とお褒めの言葉を添えて読売新聞社賞が贈られました。
読売新聞社賞を受賞した作文作品はこちら
(http://npoinsc.jp/composition/11/composition/11award_02.pdf)
表彰式はコロナで中止 橋本学校長から賞が伝達されました
表彰式はコロナのために中止となり、対面授業が再開後の7月初旬、大阪医療看護専門学校のメディアルームで、学校関係者による作文コンクールの賞の伝達式が行なわれました。
先生方が居並ぶ中、読売新聞社賞の表彰状とトロフィーが4月に就任したばかりの橋本勝信学校長から植村さんに贈られると、一段と大きな拍手が沸き起こりました。
作文の宿題を課した1年生の時の担任、山本亮子先生は、最初は受賞が信じられなかったと言いながら、「社会人を経験しているし、苦労もしていますが、そのことをあまり表には出さない学生です。作文には保育士としての職業観や社会人経験もにじみ出ていて、伝わるものがあったのだと思います。頑張った人には神様のプレゼントがあるのですね。学校にとっても名誉なことです」と、植村さんの受賞を一緒になって喜んでくれました。
患者さんの気持ちがわかる看護師をめざします
植村さんは小さいときから国語や読書が好きで、看護学生になってからは、自己啓発本にはまっているそうです。
将来どんな看護師さんが目標ですかとの質問に、植村さんは、「作文にも書きましたが、患者さんの立場になって患者さんの気持ちがわかる看護師さんになりたいです」「それと病院で働く先輩の皆さんにはコロナに負けないで頑張ってほしいです」と、新日常となったマスク越しの目に力を込めました。