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ギタリストの近持亮平さんにバークリー音楽大学「浮舟奨学金」 神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校の卒業生留学へ 

近持亮平さんのギター演奏。浮舟邦彦総長も聴き入っていました

 アメリカ現代音楽の名門・バークリー音楽大学(ボストン)と滋慶学園グループによって創設され、卒業生がバークリー音楽大学に学費免除で2年間留学できる「浮舟奨学金」の授与式が6月30日(火)、大阪市中央区の滋慶ビルで行われました。

 今年の奨学生は神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校(神戸市中央区)のバークリー留学科・ギターコースを卒業した近持亮平さん。浮舟邦彦総長から奨学金の目録と盾を贈られ、気を引き締めていました。この日はジャズのスタンダード・ナンバー「ミスティ」をギター1本で演奏し、出席者を魅了しました。

 例年はバークリー音楽大学の学長ら代表者も出席し、大阪城ホールのコンベンションホールなどで華やかに式典を行ってきました。しかし新型コロナウイルス感染症の世界的流行の影響で、今回はこぢんまりと開催。出席者も絞り短時間で執り行われました。バークリー音楽大学のロジャー・ブラウン学長から近持さんへの熱い想いを込めたビデオメッセージが届けられ、式典に華を添えました。これには近持さんも感激!心温まる授与式となりました。

5人目の浮舟奨学金による留学生 伝統を継承し、未来の音楽を見据えるギタリスト

 授与式には、バークリー音楽大学の卒業生で神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校の副学校長、細川直之先生や、同じくバークリー音楽大学出身の同校海外部副部長の岡居啓介先生ら数名が出席しました。

 進行は滋慶COMグループの清水敬博運営部長がつとめ、冒頭で「浮舟奨学金」が、滋慶学園グループとバークリー音楽大学との提携を機に2016年に創設されたことや、滋慶学園グループの卒業生から毎年1人が選ばれ、審査はバークリー音楽大学の先生方によって行われることなどを説明しました。在学中の優秀な成績はもちろん、面接で高い目的意識と献身的な熱意が認められることが必要だといいます。

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    目録を授与される近持さん

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    浮舟総長とのツーショット

 5人目の奨学生となった近持さんは、京都府出身の25歳。京都精華大学ポピュラーカルチャー学部を卒業後、ブルースやジャズなど黒人音楽をさらに深く探求するために神戸・甲陽音楽&ダンス専門学校の前身、甲陽音楽学院に入学。バークリー音楽大学への留学を一途にめざして、音楽に没頭する日々を過ごしてきました。

 バークリー留学科の担任だった岡居啓介先生によると、近持さんは親しみやすい人柄で、クラス全体を牽引するリーダー的な存在でした。ギター経験が5年と短いながら即興演奏のテクニックは学校でも歴代最高レベルだったそうです。また、バークリー音楽大学ギター科の上席教授が来日した際、近持さんの実力を知って、同大学に留学するよう強く望んだといいます。

「ギター奏者では初の受賞、今後の成長に期待します」 ブラウン学長

 バークリー音楽大学のロジャー・ブラウン学長は、ビデオメッセージで「近持さんはギター奏者として初めての『浮舟奨学金』の受賞者となります。世界最高レベルのギター講師陣から学ぶ機会が与えられることでしょう」と祝福しました。アメリカでの新型コロナウイルスの感染拡大の影響で学長もテレワークをしており、ビデオは自宅で収録されました。

 ブラウン学長は、バークリー音楽大学と日本との結びつきは1950年代、ジャズピアニストの穐吉(あきよし)敏子さんを最初の日本人留学生として奨学金で受け入れたことから始まる、という歴史を語りました。穐吉さんはその後、世界的なジャズオーケストラ、ビッグバンドのリーダーとして名声を轟かせせます。

 穐吉氏に続きサックス奏者の渡辺貞夫さん、ジャズピアニストの小曾根真さんや上原ひろみさんらをはじめ、多くの日本のミュージシャンがバークリー音楽大学で学んでいること、甲陽音楽学院からの留学生の中からも、グラミー賞をはじめ輝かしい実績をあげる音楽家が出てきていることなどを紹介しました。

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    ブラウン学長のビデオメッセージ

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    バークリー音楽大学

 近持さんへのアドバイスとして、ブラウン学長は「バークリーでギターを学んだアーティストたちの演奏を聴くことを勧めます。私のお気に入りは、ビル・フリゼール、ジョン・スコフィールド、マイク・スターン、スティーブ・ヴァイ、そしてジョン・メイヤー…といったギタリストたちです。亮平君の今後の成長を楽しみにしています」と語りました。

 そして新型コロナウイルスの感染を意識し、「この困難な時代に皆さまが安全で健康でいらっしゃることを祈念します」と締めくくりました。

「音楽の歴史に貢献できるよう邁進します」 近持さん

 続いて近持さんが、音楽に打ち込むことを応援してくれた家族や指導者の先生への感謝の気持ちを英語でスピーチしました。

 「文字より先に音符を覚えた」という近持さんは5歳でピアノを始め、その後、大学生の時にギターに転向しました。しかし、大学4年生になっても進路が見つからない近持さんに甲陽音楽学院を紹介したのは父でした。提携先のバークリー音楽大学への留学も勧めてくれたそうです。

 「名門大学への留学のチャンスがあるなら、と迷わず甲陽の門を叩きました。甲陽で出会った仲間たちの音楽に向き合う姿勢は、プロ志向の私を十分に満足させるものでした。黒人音楽の伝統的なスタイルを追求してきた私が、最先端音楽のネオ・ソウル(ソウルミュージックにジャズやヒップ・ホップなどの要素が加わり発展した音楽ジャンル)に出会えたのも彼らの影響でした」と、甲陽の2年間を振り返りました。

 さらに今後の目標について、「何よりも作曲。そして新しい音楽の創造です。後世の音楽に良い影響を与えるような音楽を創造し、音楽の歴史に貢献すること、そしてグラミー賞の栄光に輝くことが最大の目標です。全力で音楽に邁進していきます」と語りました。

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    英語でスピーチをする近持さん

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    「ミスティ」の演奏は出席者を魅了

 

 そんな近持さんがギターで演奏してくれたのは、1954年に作曲されたジャズのスタンダード・ナンバーの「ミスティ」。1950年代に穐吉さんが単身で渡米し、バークリーで学んでいたころに流行った曲です。甘い曲想で親しみやすく、BGMでも流れることが多いバラードをギターで弾きました。

「世界に共通する素晴らしい音楽の力で言葉の壁を超えて下さい」 浮舟総長

 ギター演奏の後、浮舟総長は語りかけるように祝辞を述べ「ブラウン学長をはじめバークリーの先生方は、あなたを立派なミュージシャンに育てようと待ってくれています。言葉の壁もあると思いますが、音楽も言葉です。英語が少々できなくても、世界に共通する素晴らしい音楽の力があるわけですから、十分にカバー出来ると思います。むしろ音楽で皆に理解してもらうことが大きな武器になるでしょう」と励ましました。

 そして「これから世界で活躍できるギタリストになって頂きたいし、先輩たちのように、グラミー賞をとって、世界的に認められるようになってほしいと思います」とエールを送りました。

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    お祝いの言葉を贈る浮舟総長

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    前列左から浮舟総長、近持さん、岡居先生。
    後列左から細川副学校長、清水運営部長

 新型コロナウイルスの感染拡大の影響で、バークリー音楽大学もオンラインで授業をしています。近持さんは今後、渡米し秋学期から留学を開始する予定です。