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職業人教育の更なるレベルアップへ「第23回 滋慶教育科学学会」開かれました
2016.12.09
様々な業界と連携し、職業人教育に取り組む滋慶学園グループの教職員が教育研究や業務改善に取り組んできた成果を発表する滋慶教育科学研究所(JESC)主催の「第23回 滋慶教育科学学会」が12月9日(金)、大阪市都島区の太閤園で行なわれました。同学会には近畿地区の学校を中心に約500名の教職員が参加したほか、発表の様子は、北海道や仙台、関東、名古屋、出雲、福岡の6地区7拠点に中継配信され、各地の教職員が真剣に聞き入りました。
学校法人滋慶文化学園の吉田孟史常務理事の司会で、滋慶教育科学研究所の近藤雅臣所長が「23年目を迎えるこの学会も年々、充実し、エントリーの中から発表者を絞るのに苦慮しました。いずれも素晴しい内容だと思うので、耳を傾けて聞いていただきたい」と開会の挨拶を行なったあと、浮舟邦彦総長が「文科省による職業実践専門課程制度や専門職業大学の創設など、我々が取り組んできた職業人教育への注目が高まっている。高等教育機関に対して、今、卒業までに学生が身に付けるべき資質・能力を示すディプロマ・ポリシーと、それを達成するための教育課程の編成・実施の在り方を示すカリキュラム・ポリシー、学生を受け入れるためのアドミッション・ポリシーの3つのPが求められているが、教育の質向上のためにこの学会が果たしてきた役割は大きい。ぜひ本日の発表を滋慶学園グループ全体の教育レベルのアップにつなげていただきたい」と学会開催の目的について、改めて参加した全教職員に確認を促しました。
この日は、研究発表6題がメイン会場で行なわれた後、23題の事例発表が2会場に分かれて行なわれました。また、滋慶学園グループ校の同じ学科を持つ先生方で構成する医療教育部会やバイオサイエンス教育部会、福祉教育部会など11部門の教育部会から、教科書や参考図書の編纂やコンテストなどイベント活動、調査活動への取組みなど今年度の活動報告と、来年度の事業方針が示されました。
午前中に行なわれた研究発表では、トップバッターとして、平成23年度から学内スポーツクラブ「CLUB-TSR」の運営に学生があたることによって、カリキュラム改革に取り組んできた東京スポーツ・レクリエーション専門学校(TSR)教務部長の菊池紀子先生が「体験型学習プログラム『CLUB-TSR』の導入と活用による教育効果の研究」を発表。グラフや図、動画などを駆使しながら、学生がスポーツクラブで利用者に接することでモチベーションがアップし、導入前の2010年には5%台だった退学率が、導入後は年々下降、2014年、2015年と1%台後半まで下がり、今年度も途中ながら、1%台を維持していると報告。さらに、お客様との接触によるコミュニケーション能力のアップなどによって、就職にも好影響を及ぼしていると研究成果を発表しました。
このあと、次々と最終選考に残った6題が発表され、いずれの発表者も、周到に準備してきた多彩な資料を駆使しながら、それぞれの持ち時間を最大限に使い切りながら、堂々と自信に満ちた表情でプレゼンテーションを繰り広げました。
発表はいずれ劣らぬ素晴しい内容でした。それぞれ、会場前部に陣取った各校の学校長や顧問の先生ら約50名の審査員によって内容やわかりやすさなどが総合的に審査され、最優秀賞にあたる学会奨励賞に、京都医健専門学校社会福祉科学科主任の各務勝博先生の「社会福祉士相談援助演習における演劇活用の有効性について」が選ばれました。各務先生は、社会福祉士をめざす学生たちに即興劇など演劇を用いた演習カリキュラムを実践し、合格率30%台という難関の社会福祉士の国家試験に2014年度84.6%、2015年度90.9%という全国トップクラスの合格率を達成したユニークな演習授業の取り組みを発表、会場から大きな拍手を浴びました。
また2位にあたる学会努力賞にTSRの菊池先生が、また3位の学会審査員特別賞に、高齢者に負担をかけない形で咳嗽(がいそう)といわれる咳の症状を感知し、高齢者の健康を見守るセンサシステムを構築した鳥取医療看護専門学校の教務部長、辻村肇先生の「口腔咽喉音の音波形分析に基づく咳嗽ワイヤレスモニタリングシステム-研究と学生教育について」がそれぞれ選ばれ、3人の先生に近藤所長から賞状と副賞が贈られました。
最後に浮舟総長は総評を述べ、「研究発表はもちろん、23の事例発表も素晴しいものだった。ぜひケーススタディとして、各校で参考にし、滋慶学園グループ全体の教育の質向上に役立てて、『職業人教育を通して社会に貢献する』というグループのミッションを果たしていっていただきたい」と結びました。