お知らせ
News
【入学式】 滋慶医療科学大学院大学入学式 医療の質・安全の向上にむけ探究を誓う
患者の安心と安全のため、医療の質・安全の向上を探究する滋慶医療科学大学院大学の「2019年度 入学式」が4月7日(日)、大阪市淀川区の同大学院大学で行われました。日本で唯一の「医療安全管理学」の修士課程をもつ大学院大学として、2011年4月に設立され、これまで138名の修了生を送り出しています。木内淳子学長は、仕事や家庭を持ちながら大学院の門をくぐった20人の入学生に、「学問として学ぶことの意味を考えてほしい」と語りかけました。
“学問として学ぶことの意味を考えて” 木内学長
入学式には大学や病院、福祉施設などの代表をはじめ、大勢の来賓が出席。国歌斉唱のあと、木内学長は訓示で2つの話題を提示し、1つ目として「学問とは何でしょうか。私が尊敬するある学者は、学問の真髄について『なぜか、なぜか』と問い続けることだと述べています。しかし、いま看護の各職場では『なぜか』と問わなくても、日々の仕事は完結します」と問題を投げかけました。
自らの専門である麻酔学を例にあげ、なぜ麻酔がかかるのかは未だに解明はされておらず、臨床の現場でも『なぜか』問わなくても仕事はできるといいます。しかし、『なぜ麻酔がかかるのか』を問い続けることで、はじめて発展し、現在の麻酔学があると強調し、「皆さんも本日から『なぜか』を問い続けてほしいと思います」と語りました。
2つ目として、「柔軟な姿勢で多様な価値観を認めようという態度を学習すること」をあげました。「本学がめざしているのは、医療安全学の研究と実践を担うリーダーの育成です。現在の医療は多職種連携が要求され、垣根をこえた学際的研究と教育が求められています。柔軟な思考で多様な価値観を認め合ってこそ、多職種連携は実現します。教員同士の垣根、教員と学生の垣根を超え、新しい医療安全学を究めて頂きたいと思います」と述べました。
-
学問とは何か問いかける木内学長
-
知のネットワークは財産と語る浮舟総長
“リスクマネジメントのスペシャリストとして活躍を” 浮舟総長
続いて、滋慶学園グループの浮舟邦彦総長は「日本は超高齢社会の中で、病院の中で完結する医療から、地域包括ケアシステムの構築や、医療と福祉の両方の理解が必要となっています。そのような変化の中で、いまリスクマネジメントが非常に重要で、リスクに対する予見措置をしっかりすることや、万一事故が発生した時にどのように対応していくかというテーマは、経営面の大きな課題となっています」と、医療安全管理学を究める意義について語りました。
そして「皆さんは、看護師をはじめ、臨床工学技士、臨床検査技師もおられ、それぞれご経験をもっているわけですが、皆さんの知のネットワーク、人的ネットワークは大きな財産となります。仲間との連携をしっかりとって研究を進めて頂きたいと思います。この領域は学際的なところにあり、患者さん目線で考える視点をもちながら、自分の専門分野をこえた中でリーダーシップをとれるリスクマネジメントのスペシャリストとして活躍されることを目指し、研鑽に励んでいただくことを祈念いたします」と祝辞を述べました。
“新しい研究分野にチャレンジをして” 森井・大阪大学医学系研究科長
大阪大学医学部部長でもある同大学大学院医学系研究科の森井栄一研究科長は来賓の祝辞で、「この大学院大学は、さまざまな地域から集まっている、多様な職種の方々が集まっている、そして働きながら学べるという3つの良い点があります。医療安全の大切さは良くわかっているものの、中心課題にするのは難しいのが現実でした。もちろん医療現場では安全に気をつかいながら仕事をしますが、医療安全ということを中心において人材育成をしようというのが本学の目的です。研究は課題を見つけ出し、いかに解決していくか考えること、誰もやらなかったことを考えることです。皆さんにしかできない新しい研究分野にチャレンジして頂きたいと思います」と期待を述べました。
海外提携校の代表の方からもお祝いのメッセージ
海外提携校の代表の先生からも祝辞をいただきました。ドミニカン・ユニバーシティ・オブ・カリフォルニアの健康自然科学学部のルース・ラムジィ統括教務部長は、「医療安全管理学の研究の道に進まれることは、効果・効率・品質を兼ね備えた未来の日本の医療に貢献するものです。医療教育において、グローバルな視野をもつことは非常に大切なことで、健康は世界的な関心事で、世界的な問題です。目の前に立ちはだかる課題は共通で、だからこそ、一緒に学び働くことによって、この世界をより良く、より健康にしていきましょう」と呼びかけました。
-
一緒にこの世界をより健康に、
と呼びかけたラムジィ統括教務部長 -
周光紀院長は新たなアイデアを考える姿勢を強調
また、廣東医科大学基礎学院の周光紀院長は「皆さんは医療業界の優秀な人材として、自分自身の業務レベルを高め、患者さんにより良い医療サービスをしたいという目標を持ち、この大学院大学に入学されました」と崇高な目標をもった選択を評価したうえで、「ぜひ、研究活動にどっぷり浸り、新しい知識を身につける習慣を養い、常に新たなアイデアを考える姿勢を保ち続けて下さい。皆様が学び続けることで成長されることを期待しております」とお祝いの言葉を述べました。
“自らの課題と真摯に向き合い日々研鑽します” 入学生代表
多数の祝電の披露のあと、入学生を代表して医療管理学研究科 医療安全管理学専攻の中村祥子さんが宣誓し、「専門性豊かな先生方からご教授いただき、多職種の経験豊富な学友とともに、新たな学びと経験を積み重ね、実践者、リーダーとして、医療の質と安全の向上に貢献できるよう日々、精進して参ります。学業・仕事・プライベートを両立させながら自らの課題と真摯に向き合い、研究能力を養うべく日々研鑽することを誓います」と述べました。
-
木内学長を前に宣誓をする中村さん
-
自らの大学院大学での経験を語る住友さん
入学式のあと、第6期生で現在、近畿大学医学部付属病院の病棟看護師長として勤務している住友順子さんが、家族を持ち働きながらの研究生活と、その後の活動についてプレゼンテーション。沢山の講義を受けて多くの知見を得、基礎から論文作成まで学べたことはもちろん、仲間とのグループディスカッションを通じ、自分の意見を言ったり相手の意見を聞く力が向上し、他の職種の考え方を知ることができた、と自らの経験を語りました。そして「出会いを大切に」というメッセージを後輩たちに伝えました。